彼の背中に近づきたい-23
やっぱり、無理…
そんな目で見ないで…もう待てない。
キスしたい。
私は、志賀くんに抱きついて、ソファの上に組み敷いた。
志賀くんは、いきなり抱きつかれたから、私の力でも呆気なくひっくり返った。
ごめん、小野君。
中学生の志賀くんを想像してみたけど、無理。彼は立派な体をした男性だし、彼の唇って柔らかくて気持ちいいし。早くキスしたい。
煩悩を押さえるなんて、一時間ももたなかった…
志賀くんって、やっぱりすごいのね。
「ねえ、志賀くん。何度いったら分かってくれるの?昨日も聞いてなかった?」
彼は、私の下で大人しくじっとしている。
もう…無理。
私は、ゆっくりと、唇を重ねる。
唇の輪郭をなぞるように味わう。
この人の唇を見ると…触れずにはいられない。
「友芽…それじゃ話せない」
固く閉じた唇…やっぱり…嫌がってる?
お願い…拒否しないで。
私を受け入れて。
愛してるのに…こんなにも。
「話さなくていい、黙って」
やっぱり…私じゃダメ?
「あなたは、こんなふうにキス、好きでもない人にしたりする?」
志賀くんが首を振る。
志賀くんは、かたくなに口を閉じて、私のキスには応じず表情も硬いまま。
私は、唇から、顎、首筋とゆっくりと触れていく。
彼の固い胸の上で手の動きを止め、
心音が聞こえるように、心臓の上にピッタリと耳を当てる。
彼の胸に顔を埋め、服の上からキスをすると、体がピクンとはねる。
彼が、くすぐったそうに身をよじる。
「ここにキスしたいの。逃げないで」




