対立7 ハチになーれ!!
〔キスされた。高校生生活の残念な思い出。悪夢のアルバムを作ってしまった。あたしは、もうバージンじゃないのでしょうか?〕
一睡もできなかった多荼奈。その晩は、『何度もフェンのヘンタイ顔が自分の顔に触れ、アンナ事をされてしまうだなんて、鳥肌モノだ。好きでもない奴とキスだなんて……こん畜生!!』というモノローグで明け方までリフレインした。
「……それで寝不足だったの? 最悪ね。その悪漢」
「タスケテ~!!」
「事後の問題に関しては、迂闊だったのよ!! 貞操守れない無防備さが招いたコトよ」
クラスメイトの友達はいつでも他人事だ。役には立たなかったと反省した多荼奈。
将棋部終了後の帰宅中。公園のブランコで黄昏ていた多荼奈は、またもやフェンに付け狙われた。
「さあ、我が嫁、自分と対決しようぞ!!」
「キス魔のヘンタイ、あたしの唇返せ!!」
「終わったことを愚痴るとは、まだお子様だなぁ~」
「超どヘンタイにお子様呼ばわりは……」
「あの時の唇はソフトだったなぁ♪」
「純潔を~。ああああん」
「おいおい……泣くことあるか?」
「こうなったら、ハチになれ!!」
「ブ~ンブ~ンブ~ン!!」
「てや~!!」
空中回し蹴りで、ハチになりきったフェンの頭を割るように滅多うちにした。
「マイハニ~!!」
「ばーか。ファッキン!!」
つまらぬモノを蹴飛ばした多荼奈のハードな台詞で幕を閉じた。