対立完了 フェンよさらーば
〔センティアによって不覚にも自分は我が部屋の『監禁室』に閉じ込められるとはな。センティアは自分の見張り番でも監視役でもないはずだ。単なる傭兵の女剣士のはず。いくらなんでもメチクチャだ。己れ~!!〕
「さあ、奴は私が閉じ込めた。私は帰投するが、後の事はクリナに一任する」
「わたくしが至らぬばかりに……」
「ふん。あんなヘンタイ男が拘れば、我が星『魔窟』は廃れようぞ。そうならない為の一時帰京なのだから。では、頼むぞ、クリナ!!」
言って、魔窟号に戻ったセンティアは、元の星に帰投した。
「後はわたくしが……か」
一方、多荼奈は2年生生活を謳歌していった。
そんな時、また新手が彼女の手前に立ちふさがった。
「何!? また、新手?」
「久方ぶりね」
「あ……いつぞやのサイボーグ娘」
「今回は協力してほしくてあなたを連れていく。お願い申し上げます」
「敵なのに、どうして?」
「フェンを倒す絶好のチャンスよ」
「ええっ!?」
ところ変わって……鏡嶽の中。
監禁室の手前にある室内展望プラットフォーム。
監禁室からは、プラットフォームが覗けるマジックミラーが張られてある。
「!? オオオ~!! 愛しのタタナ姫~!! 自分を救出にきてくれたな。自分は嬉しくて、涙が溢れ出てくるばかりだ~」
「相変わらずのヘンタイぶりネ」
クリナがフェンに指さし、指示をだした。
「対象はあそこだから間違えなく練習通りにアレを決めなさい。一発よ。一発で決めなさい」
「言われなくたって……あたしの渾身の一撃、最後の奥義を食らえ~!! ファイナル・タタナ・アタッーーーーック!!」
「なっ、なんだってーーーーっ!!」
フェンは部屋ごと、魔窟星に向け二度と地球に向かうことはなかった。
「この、船……穴空いちゃってるけど大丈夫?」
「もう駄目。でも、あなたを地球に送り返せる。わたくしに捕まって」
クリナに捕まって地球に送り届けられた多荼奈。
「クリナ、ありがとう……あなたも、魔窟ってとこに帰るんじゃない?」
「わたくしは既に任務を果たした。もう存在意義はない。多荼奈、そなたに出会えて本当に良かった。出来れば、最初からトモダチになりたかった。残念だが、もう潮時だ。さらばだ」
「そんな事……あなた、クリナは既にあたしの友達よ。あなたとは共感できたもの!!」
「わたくしには、鏡嶽に残るのが使命。フェンを倒してくれて、助かったわ。本当にありがとう……多荼奈。わたくしのトモダチ……」
言って、瞬間移動で鏡嶽に戻った。
その部屋の大爆発。その次元の彼方の魔窟の中。
「さあ、お前のために用意しといた。ブス姫星から、ブス姫様と婚約するのだ」
「大王!! それはアンマリだ~!!」
「四の五の言うな!! 地球は諦めて、気持ちを入れ換えるんだ!!」
「ワァ~ン!! ここは魔窟じゃーーーーー!!」
一方、地球では。
多荼奈は、カレ候補と思われし者と共に新たな青春へと一歩前進したという。
めでたし、めでたし!!




