鳥と止まり木。
空は青く、鳥は彼方を飛んでいる。
「またフラれたー!」
トウコは青へ向かって叫んだ。苦笑いしながら、ミツミは叫ぶ彼女を眺める。
トウコは男にフラれると学校近くの高台で叫ぶ。ミツミはそれを一部始終見つめ、そして慰めるのが習慣となっていた。
「あー……もう恋愛なんてしなーい」
ぐったりとベンチにもたれ、トウコはうめくように言った。毎回のことだ。
ミツミは「まあまあ」と彼女の髪を撫でる。肩までのそれは、自分の長い髪と違い柔らかい。
「アンタに合う男なんて、これから腐るほど現れるわよ」
本当は現れて欲しくないけれど、ちくりとする胸をなだめすかしミツミはトウコへ言った。
彼女の落ち込んだ顔なんて見たくないし、笑っていて欲しい。
その為ならば、いくらでも愚痴を聞こう。『フラれた親友を慰める優しいミツミさん』を演じようではないか。
「ミツミ……いつもありがとぉー」
ぎゅうっとトウコは抱き付いてくる。しかし悲しいかな、それには何の他意もない。
ミツミはトウコの頭を撫でながら、空を仰いだ。白い鳥が二羽、肩を並べて飛んでいる。
切ないけれど、私達はあのような比翼の鳥にはなれないのだ。せいぜいが、私はあなたが比翼となるまでの止まり木だ。それはたまにくじけそうになる。
でも私はあなたの翼が手折れるところなど見たくはない。あなたには笑っていて欲しい。自由に空を飛んでいて欲しい。
「目に痛い青空だねー……」
見上げたまま、ミツミは呟いた。
あなたの笑顔を見たいから、私は笑ってあなたを見送るのだ。ミツミはほんの少し力を入れて、トウコを抱き返した。
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