表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

夜道

「落ち着いた?」


「うーん、まぁさっきよりはね」


エルスが手に持つ小さなオイルランプの儚い光が夜道を照らす。夜も遅いし、寮へと帰る途中に全てを説明しようとしたのだ。


「で、それいつの話?」


「一週間くらい前かな」


「なんでまた、その…なんていうか…」


「別れた理由?」


「エルス、あんた本当に直球ね」


「変化球投げてどうすんのよ」


くすくすと微笑むエルスにあわせ、ランプの光もゆらゆらと揺れた。そして気づけば、寮の灯りが木々の間にちらついていた。


「で、詳しい事は明日聞くとして…理由だけ教えて」


「…好きかどうか分かんなくなったんだって」


「そんな理由で?」


「そう、だから……ちゃったの」


突如吹き荒れた風に、エルスの声はかき消される。アリシアは聞こえないながらも自分なりに解釈したようで、小さく頷いた。


「そっか…。今回の事、あんま考え込まないよーにね!」


「うん、大丈夫よ。ありがとう」


「よしっ、送ってくれてありがと!おやすみ」


「おやすみなさい」


寮へとかけてゆくアリシアの背を見送り、エルスも小屋へと帰るかと思いきや反対方向の聖堂へと足を向けた。

木々の間をすり抜け、ランプでは照らしきれない道の先もエルスは把握し尽くしているのか迷うことなく進んで行く。

あっという間に中庭に抜け、聖堂へと辿り着けば躊躇うことなく扉を開けた。


聖堂内は静寂に包まれている、はずだった。


人の声がする、こんな時間に訪れる人などいるはずないのに。

エルスは無意識に息を潜めた。


そして足音を極力立てないように、音という音を殺し静かに聖堂の奥へと進む。


すると、祭壇の端から人影が見えエルスは思わず声をあげてしまった。


「誰なの!!」


「怪しい者じゃないから!!」


聖堂に、男女2人の声がこだました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ