ゴキゲンいかが?
「君、音楽区ね。ああ、別に土地とか所有権とかそんなのないから適当にやってね」
「はぁ」
やたら白く輝くハトにそういわれて村上 春樹はそういって頷くことしかできなかった。とりあえず、現状把握ということで彼は散策してみることにした。
小一時間歩いたか。特に何もない。白いふわふわと青い空だけ。更に小一時間あるいてみるとやっと人影らしいものが見えた。
「あのー」
新人たるもの挨拶はしておかねばなるまい。
「ああん・・・・・・? 」
寝転がっていた男は立ちあがる。ボロボロのジーンズにヨレヨレのTシャツ。肩の位置よりも伸ばしたロン毛に無精ひげが特徴的である。
「ああ、新人か。ゴキゲンいかが? 」
「オウ・・・・・・ジーザス」
春樹はそんな妙な挨拶で返した。それには理由があって。目の前にいる彼こそ、春樹が憧れてやまないその人であったからだ。
「? 」
「つかぬ事を伺い致しますが、間違ってたらごめんなさい。カートさんですか? 」
「そうだけど? 」
「ブリィィィィィィド!!!!! 」
唐突に叫ぶ春樹。
「インユーテロ」
その春樹にカートはギターを取出し、頭に叩きつけた。
「光栄です」
「そりゃ、どうも」
妙な会話をしていると、グランドピアノが高速で飛んできた。
「僕のおけつをなめてほしいんだな! 」
ピアノの上に立つはやたら髪を巻いた銀髪の男。
「ちっ、モーツァルトか。めんどくせぇ」
カートは叩きつけたギターを正眼に構えてそれを迎える。ピアノとギターが合わさった途端、辺りに暴風とプラズマが発生し、春樹は危うく飛ばされそうになってしまった。
「カート君。腕をあげたね!イヒヒッ! 」
「生前より健康的な生活してるもんで力ありあまってるんすわ」
飛ばされそうになりながらも春樹は思った。
(まじぱねぇ)
これが春樹の天界生活一日目である。
先行きはおおいに不安であった。




