第一話〜始まりの死〜
前半は史実に則りますが・・・あるターニングポイントで仮想に移りますをご容赦ください
1636年(寛永13年)5月江戸 米沢藩邸
今まさに病床につき、70歳で世を去ろうとしている傑物がいた。
最後の戦国大名であり米沢藩主・伊達藤次郎政宗である。
そこには政宗の信奉者で時の三代目将軍・徳川家光も見舞いに訪れていた。
かつては独眼竜と恐れられていた奥州の覇王も既に老いさらばえていて病にその身を犯されていた。
「政宗殿!!しっかりなされよ!!」
家光が病床についている政宗に必死に語りかけ続けた、その途端彼は突然身を起こして襖の方を指さした。
「おぉ!!小十郎!!迎えにきおったか!!」
政宗が老いてやせ細った手を必死に伸ばして叫び声を上げた、家光は政宗の側で控えていた重臣・伊達成実に小十郎とは何者かと聞いた。
「小十郎とは御殿の軍師であらせられた亡き片倉小十郎景綱殿です」
成実が手ぬぐいで涙を拭いて家光に言った、この話を聞いた直後政宗は息を引き取った・・・。
死は始まりに過ぎない、かつてどこかの誰かがそう言った・・・そう伊達藤次郎政宗にとってはこれが始まりに過ぎずまた混沌とした時代の始まりに過ぎなかった・・・。