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鳥獣戯詩  作者: 妻戸裕次


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第45話『はるさめ狂騒曲 』

はるさめってな、

つるつるして半透明やねん。


……いや、

つるつる言うよりシトシト。

半透明いうより、いっそ透明。

存在感うすっ。


「えっ!! 腰もあるし!」


「えっ!! 腰? 見たことないわ!」

どこ見とんねん。


お湯で戻せば、ほら、

しずくみたいに透けて、

儚(はかな)げな乙女のよう。


「変わったやっちゃな、湯で戻してどないすんねん」

「戻さずそのまま鍋でもエエよ」


「待て待て、君、鍋に入れてるんかい!」

「そうや、そうや、宗谷岬!」


急に最北端。


「春雨やろ」

「そうや、はるさめや!!」


「“月様雨が……”」

「“春雨じゃ、濡れていこう”の春の雨やろ」


何の小芝居やねん。

時代劇か。


ちゃうちゃう、

天候ちゃう。

麺や、麺!


ダイエットにもエエし、

スープ吸ってふくらむし、

気ぃついたら主役やし。


透けてるくせに芯がある。

軽いくせに腹にくる。

静かな顔して、ちゃっかり者。


それが、はるさめ。


……もうエエわ。

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