不良の末路
気に食わない女がいた。
グレた俺を何度も何度も道を正そうとする鬱陶しい女だ。
俺はそれなりに喧嘩が強い。
だから、あんまりにも鬱陶しいから一度暴力でわからせてやろうとした。
――が、まさかの返り討ちにあってしまった。
「喧嘩なんかやめて勉強しな」
従うのは癪だが負けたことが恥ずかしい俺は復讐のためだけにこの女の言葉を受け取った。
つまり、更生したように見せかけて油断したところを襲ってくれる。
そう心に決めたのだ。
勉強は難しかった。
当然だ。
分からないことを学ぶのが嫌だからこそ、簡単に解決する喧嘩を選んだのだから。
「頑張っているじゃん」
そう言って女は笑う。
その様が腹立たしかったが今は我慢の時。
そう思い、何年も、何年も俺は勉強を続けた。
気づけば学校の成績は上がり、有名な大学にだってあっさりと入ってしまえるほどに。
高校卒業の夜。
更生をしたと信じ切った女を俺は自宅に招いた。
「あのどうしようもない不良がねえ」
すっかり油断しきった馬鹿女。
それをこのまま襲って――。
そう考えてた。
考え続けていた。
それなのに、賢くなった頭が冷静な判断を訴えかけている。
それは要するに。
『積み上げたものを捨てる気か?』
なんて、実に当たり前のこと。
殴るだけでもダメだ。
暴言のような口喧嘩だって危うい。
さらに言うなら、いつの間にやら抱いていた劣情を無理矢理にでも解放しようとしたならば――。
「ねえ」
黙りこくっていた俺に女はぽつりと言った。
「告白はしてくれないの?」
悪戯っぽく笑う、その顔を見て。
自分が最後の最後まで彼女の手の平の上だったと否応なしに悟るのだった。




