怪獣へ
怪獣よ、
貴方はいま、何を目にしているのだろう。
朝の光だろうか。
床に落ちた影だろうか。
それとも、大人にはもう見えなくなってしまった、
きらきらした何かだろうか。
何を学んでいるのだろう。
何を習っているのだろう。
名前のついた勉強だけじゃなく、
転んだ痛みや、褒められたときの誇らしさや、
悔しくて泣いた夜のことも、
全部、貴方は身体ごと覚えているのだろう。
新しい物を見ているだろうか。
新鮮な景色を見ているだろうか。
昨日まで知らなかった世界を、
今日もひとつ、踏みしめているだろうか。
周りにはいて、
貴方にはいないものを見つけて、
不思議に思うだろうか。
それとも、少しだけ哀しく思うだろうか。
大丈夫だ。
その気持ちは、ちゃんと強さになる。
怪獣よ、
貴方はいまも活発に動いているだろうか。
走って、跳ねて、叫んで、
世界にぶつかっているだろうか。
好きなこと、
好きなものを、
ちゃんと大切にしているだろうか。
食べ物は、ちゃんと食べているだろうか。
嫌いなものを前に、眉をしかめていないだろうか。
それでも一口、挑戦してみたりしているだろうか。
特技は、あるだろうか。
まだ見つかっていなくてもいい。
眠っているだけでもいい。
怪獣の力は、急がなくても目を覚ます。
怪獣よ、
忘れないでほしい。
貴方は一匹じゃない。
そばにいる。
声を出さなくても、
ちゃんと、ここにいる。
吠えたなら、
こちらも吠えよう。
全力で、吠え返そう。
世界が怖いときは、
一緒に震えよう。
世界が楽しいときは、
一緒に笑おう。
怪獣よ、
どうかそのまま、
きらきらしながら、生きていけ。




