女性。
元、チルドレンギャング団で、頭だったケイ・カインゼルを。後ろからナイフで切りつけた男、トム・ハックスは。今まさに人生で最高の気分だった。
最初こそ『ケイ・カインゼルに深手を負わせた。ギャング団の時期頭の筆頭』と呼ばれた時もあったが。
ほかの四人が連携して、トム・ハックスを【チルドレンギャング団の次期頭】として認めなかった事と。
『ケイ・カインゼルを後ろから切りつけた所を、複数の団員に目撃されていた』事実が。
「はたしてこの男性に、頭が務まるのか?」
と言う『陰口』を消し去る事が、出来ずにいたため。
『五人による複数統領制』という。ハンス・ログ、レクター・ドルフ、チョッポ、キャリー・マスの四人による『妥協案』を飲み込む破目になったのだ。
だが今はどうだ! この国の闇の王【魔王】エメクによって、いま自分達は正式にランダルファ王国の、【特殊部隊員】に任命されたのだ!
その証拠として、我々、元チルドレンギャング団はいままさに。王国の【空中庭園】に軍服を着て立っていた!
しかもその軍服も【特注品】であった。黒いズボンに白いシャツ、シャツの上に着るのは真紅の立派な上着だった!
しかも我々の年齢も特別だった!
周りに居るのは、三十代~四十代になる中年の男性だけ。どんなに若くても二十代、それに比べて我々の年齢は。十代! これだけでもおれ達の【特別】ぶりが解かるというものだった。
周りの音が遮蔽されている各テーブルでは、大小の集まりに関係なく。十代の場違いな派手な軍服を着た“子供達”の話をしていた。
「何なのだ? あの、場違いな子供達は⁉」
立派なカイゼルひげを蓄えた、少し腹の出っ張った男性が鼻息も荒く、そうしゃべると。
その隣でワイン飲んでいた男性が、こう言った。
「ああ、彼らですか。彼らが“今回”集められた【特別任務兵】ですよ」
そう言って背の高い男性は、煽る様にワイングラスを傾けた。
「ああ、では、彼らが今回の【自殺部隊】か」
カイゼルひげを持つ男はそう言うと、自身もワイングラスを右手に持った。
「可哀そうに、まだ十代ですよ? 彼らは」
そう言って哀れみのこもった視線を送った。
「では、君があの子供の代わりに【弓矢】や【攻撃魔法】の降りそそぐ中を『突撃』して来るのか?」
口ひげのカタチが気に入らなかったらしく、ひげをいじりつつ。『今回の戦争で【英雄】になる定めの』子供達を見て、背の高い男性に意地の悪い質問をする。
「私にはまだ十代で、一人前に背の高さで迫って来る長男がいるんですよ? そこまでの馬鹿ではあれません。」
背の高い男はそう言うと、とっくの昔に沈みきった太陽に視線をおくった。
ミナ・シェリルが、かん高い金属音で目を覚ます。
「──此処は何処──?」
虚ろな視線を首の動く範囲で巡らせる。
突然自分の左側で、激しくぶつかる金属音が鳴り響いた!
ミナ・シェリルは何故かチカラの入らない首をめぐらすと。目に入って来たソレはまさしく死闘だった。
一手、二手、三手! いや。目で追えないフェイントを入れたら、その三倍以上の手数は有った【剣】と【魔法】そして、二人の【剣士】の戦いだった‼
「ケイ!」
ミナ・シェリルは、思わずそう叫んだ。
「師匠! 動けますか⁉」
ケイ・カインゼルが早口でそう尋ねた。
『しまった‼』
ミナ・シェリルは激しく後悔した!
今二人だけで死闘をしている真っ最中に、私は何と迂闊な事を!
このままではケイ少年は、首を叩き切られて──。
ミナ・シェリルは、思わず目を閉じる。
「待っていてください、いま拘束具を解きます!」
ケイ少年はそう言うと、革製の拘束具をナイフで切って行く。
『あの【道化師】は、何故この絶好の状況を利用しない?』
ミナ・シェリルがおそるおそる目を開く。
銅製のパイプとケーブルの丘から、【道化師】は走り降りて行く!
「ミーシャ、フェミール! 隠れろぉぉ‼」
【道化師】が叫びながら、ひとりの女性に走り寄る。
「伏せろ! 母さん‼」
ケイ・カインゼルがそう叫ぶと、【鉄製】のベッドからミナ・シェリルを引き剥がすと。小さな体で覆いかぶさった!
エート、もうすぐこのお話しも終わります。
どういうオチかも決まっております。が。
後何話でそこにたどり着くかが解かりません。
それぞれのキャラクターが、勝手に動くのです!
次回で終わり、という事は有りませんが。
では、あと何話? と、聞かれると困ってしまうのです!
それではまた、次回。




