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その手にツルギがある限り!  作者: さんごく


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56/60

とても獰猛な──。

「チィ、バレバレか!」

【道化師】ラハス・バレンツはそう言うと、仮面の中から怒りに満ちた視線を。ケイ・カインゼルに向けた。


「つい数刻前まで一緒にいた人物を忘れる程、もうろくはしていない!」

 ケイ・カインゼルはそう言うと、銅製のパイプと一緒にはい回る。銅製のケーブルを背中にして、ラハス・バレンツを見下ろした。


 初めてケイ少年から見下ろされる、ラハス・バレンツは。何がおかしいのか、ケイ少年を見上げて笑い始める。

「何がおかしい!」

 ケイ・カインゼルはイライラとした感情がにじむ声で、【道化師】の姿をした【勇者】を見下ろす。

「なぁに、対した事では無いただ一瞬。『お前の方が【勇者】のようだと』思っただけだ」

 そう言ったラハス・バレンツは、今度こそ声をあげて笑い出す。

「おれは【勇者】では無いし、これからもその【称号】は使わない」

 ケイ・カインゼルは胸を張ってそう断言した。

「そうかそれは残念だ、お前ならおれ達を止めてくれると思ったのだが──」

 ラハス・バレンツは小さな声で、そうつぶやいた。だが、次の瞬間ラハス・バレンツは大きな声でこう言った。

「では始めようか、ケイ・カインゼル」

 ラハス・バレンツがそう言うと。ケイ・カインゼルに向かって両足と左手で、パイプとワイヤーを足場にして、ケイ少年もとへ向かう。

 

(おれを殺すか、足止めをするのがエメク・カインゼルとかわした契約か⁉)ケイ・カインゼルはそう憶測をする。

 事実はどうであれ、【魔王】エメクは【勇者】ラハス・バレンツに。『足止め』出来ればそれでよい、そう考えているようだった。

 ──舐めていやがる!

 ケイ・カインゼルはそう思う。

『この男にそんな手加減が出来る訳が無い!』

『この男はやめろ! と言うまで突進してくる‼』

 付き合いはまだ短いが【勇者】ラハス・バレンツと言う男はそう言う奴だ‼


 ケイ・カインゼルはこう考えた。こいつは言わばウォードッグだ。【主】が止めるまで獲物の追跡を止めずに、その獲物が喉を見せるまで、虎視眈々と狙っている!

 そして、獲物が迂闊にも白い喉を見せた瞬間、突進して獲物の喉に噛みついて来る‼

「まったく、何て動物を鎖から外したんだ!」


 ケイ・カインゼルも、【魔王】エメクも。【勇者】ラハス・バレンツの事を【猛獣】扱いしていた。

 それはラハス・バレンツの、一端を見事にさらけ出している──様に見えたが。【勇者】ラハス・バレンツの全てを現してはいない。

「襲い掛かって来たら、厄介な肉食獣」

 ソレで片付けられるほど、ラハス・バレンツは簡単な性格では無い。

「どのような命令でもこなして見せる。恐ろしく凶暴な人間!」

 そう、それこそが【真の意味でのラハス・バレンツ】の本性だった。


 彼ラハス・バレンツは、闘う事に特化した。【人間】であった。


そろそろ終わらせたいのですが。

何処かで【伏線】が在るかもしれないので読み返します。

脊髄反射的に【伏線】をばらまいているので、何処で何をばらまいているか。

では、読んでくれて、続きも読んでくれる方。

次回、お楽しみに!

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