ピエロ。
「さてっと」
ケイ・カインゼルはそう言うと。左手の指を開いた後すぐに閉じた。
最初はゆっくりと、そして段々早く指の屈伸をし始めた。
「!」
ケイ・カインゼルは最後に高速で、指の屈伸を行った。
「おおぉ…」
ヤビー・コルボの口から、感嘆の声が漏れだした。
ソレは最早、指の曲げ伸ばしなどでは無かった。
何十本もの指が、ケイ・カインゼルの手に中で踊っていた。
「これは凄い!」
ヤビー・コルボの口から、感嘆の声が出てしまう!
『残像』だと解かって居ても、その指の動きと。羽虫の羽ばたき音にも似た「音」に、思わず集中してしまう!
「まだやれるか!」
ケイ・カインゼルの声に、確信が灯る。次の瞬間ケイ・カインゼルの体が横にぶれた。
危機を察知したヤビー・コルボが、両手で耳を塞いで大きく口を開いた! そのせいだろうか、彼の鼓膜は危機を免れた。
だが、ほかの。ケイ・カインゼルのチカラを知らない【チルドレンギャング団】達は、その様な『奇跡的』な事は起きなかった。
「み、耳がぁぁ‼」
「お、俺の後ろに何かがいるぅ⁉」
「何だ? 何なのだぁ‼」
突然発生した『突風』と共に、何かの気配を感じる【チルドレンギャング団】だが。その後を追う事も出来ずに、露出した皮膚に浅い傷が出来る!
「この部屋の中には何かが飛び回っている⁉」
一番齢を取ったこの部屋の【防衛隊長】が、多少興奮気味でそう言った。
「おめでとう、そしてさようなら」
耳もとで、誰かかそう囁いた。
この日の彼はとても運が良かった。耳もとでのささやきを聞いた瞬間、とっさに頭を抱えて前方に飛んだのだ。
彼の首が在った場所を、【鋼のシミター】がかすめる。
だが、彼の幸運も此処までだった。
『前に飛び出る』という事は、本来彼が相手をする“敵”に、『その姿をさらす』事でもあったからだ。
カインゼル達が使う、ライトクロスボウの矢が【防衛隊長】の足を貫く。
悲鳴を上げて床を転がる【防衛隊長】の体に、容赦ないライトクロスボウの矢が突き刺さる。
【防衛隊長】の体がピクリと動かなくなるまでの五分間。ライトクロスボウの矢は放たれ続けた。
カインゼル側からの攻撃が、一瞬とまるが。それは獲物の死を確認する為であった。
【防衛隊長】の死を確認すると、カインゼル側の攻撃は。新たなる“獲物”を見つける為に、クロスボウの弦が張り直されて矢が放たれ始める。
戦いは膠着状態から、謎の攻撃者からの奇襲によって、カインゼル側に傾いた。
戦闘の場を混乱状態にした、ケイ・カインゼルは。【加速状態】を解くと、ミナ・シェリル・サリアンのもとへと近づこうとするが。その最初の一歩が出てくれなかった。
──何かがおかしい──
ケイ・カインゼルは回りを見る。
「何処へ消えた【魔王】エメク‼」
そう、今の今まで此処で何かを行なっていた【魔王】エメクの姿が無かった。
我々を恐れて逃げた? あり得ない! あの性格異常者が、この程度で逃げ出すものか。
何かのワナ? うむ、それならあり得る!
その時、未だ【加速状態】にある視界に、何かの影が走る!
ケイ・カインゼルは、とっさに。シミターで防御を行う。
激しい金属音が響いて、ケイ・カインゼルのシミターが。青銅製のブロードソードを受け止める!
ケイ・カインゼルは、その男性を見る。
その男性は、【道化師】の服装を身に着けて、笑いながら泣く仮面を付けていた。
ああぁ。やっとここまで来ました。
いつどこまで続くか解かりませんが。
ラストまで読んでくれると嬉しいです。
色々大変ですが、僕も頑張りますので。ついて来てください。
では、次回お楽しみに。




