表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手にツルギがある限り!  作者: さんごく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/60

樽。

 ランダルファ国軍の【特殊兵隊】約一万人が、【国王の住む王塔】から張り出すように作られた、六枚の空中庭園でその時を待っていた。

 刻はすでに十二刻を超していた。

 季節はすでに冬であり、空中庭園の噴水も止められて久しい。

 そこへ個別に呼ばれて来た約一万人の【兵隊達】は、“その時を”考えつつ体温を上気させて待っていた。


『諸君!』

 拡声器から滑らかに出て来た声に、全員が背を正して【軍靴】を鳴らした。

『ようやくである諸君。この日この時の為に耐え抜いた君達は、今日の為に自らを鍛えて来たのだ!』

【兵隊達】の目は興奮で血走っていた。

『最初の敵は我らの怨敵にして、隣国であるスファ―ク国!』

 一万人の【兵隊達】がつばを呑む。

『そして我々の【最終目標】は、この世界の頂点に立つ事である‼』

「オー!」

 一人の【兵士】が雄叫びを上げた‼

「「オオー!」」

 雄叫びを上げる【兵隊達】が、伝染する様に広がって行く。

「「「オオオオオオー‼」」」

 全ての【兵隊達】が雄叫びを上げて、足踏みを始め出す! 霜に固められた芝生を踏みながら。【兵隊達】は体温で温まった息をはき出す。その光景は【熱病で錯乱する病人】か、人の皮を被った【得体の知れない化け物】に見えた。


 この大騒ぎは当然【王塔】以外の塔や、【地上】に住む。いわゆる【上の民や、中の民】には。当然すべて聞こえているが、彼らは何の行動も起こさなかった。

「あの演説は危険では無いか?」

 そうとらえる人々は確かにいたが、そう言った人々はその考えを周りに話そうとした瞬間。立ちっぱなしで意識を失った! 

 そして数秒後、彼らは何事も無く働き始める。──何も考えず、何も恐れずに。

 例えこの放送を又聞いても『この国の王様は、小難しい事を“又”言っている』位にしか考えない!

 そう、彼らは考えない。

 自分達が『洗脳』されている事に。【上の民】よりさらに上に存在する【真の民】達が、生き続けられる様に。その為だけの存在である事を、彼らは考えない様にされていた。

 彼らを真に養っている存在がこの世にいる事を【中の民】も、そして【上の民】でさえもその存在を知らなかった。

「【魔王】エメク・カインゼルとその取り巻きを、贅沢に暮らしをさせる」

 彼ら【中の民】と【上の民】の生存理由とは、彼らが選ばれたからではない。その彼らでさえ支配する【真の民】達に餌をやり、身体を鍛えさせて。【真の民】達の王【魔王】エメク・カインゼルの心から望んでいる計画である『世界征服』を、実現させる為だけに働いて要る事を彼ら【上の民】でさえ知らされてなかった。


「【魔王】エメクはペラペラとよくしゃべる」

 大きな荷馬四頭で走る馬車の上でそう言ったのは、戦いには参戦させられなかった【カインゼル】だった。

「仕方が在るまい、我々には戦う事も。ましてや【魔法】を飛ばす方法も、誰も教えてはくれなかったのだから」

 この地で産まれ、過去へ送られた【カインゼル】の全員が、優秀な【戦士】または【魔法使い】になれた訳では無い。

 いや、むしろ平凡な人生を歩み。戦いとはいっさい関係の無い【技術】を身に付けつつも。

 夢の中。あるいは白昼夢でこの国【ランダルファ王国】を、知って居るモノ達が家庭を飛び出して。更に運の良い(あるいは運の悪い)者達が、この国に辿り着く事があった。

 多くの場合は、【魔王】エメクの手で殺される運命だったが。更に運の良いカインゼルは、

 ヤビー・コルボに助けられる事があった。

 その場合は、二つの運命を選択しなければならない。


 一つは、この国の事を一切忘れて。自分の家へ帰る事。

 二つは、この国の暗部へ潜り、【魔王】エメクと戦う事。


 普通の人間は一を選ぶ。誰もソレを臆病者とは呼ばない。当たり前の人間は当たり前の人生を選ぶ。

 だが、二を選ぶ人間も少なからず存在する。

「何故こっちを選ぶのか?」

 その問いに正確な『答え』を出した者はいない。

 だが、比較的多くの【カインゼル】はこう言った。

「腹が立ったんだ!」

 彼らはそう言った。

「何でもいいから【魔王】エメクに、一泡吹かせたいんだ‼」

 

「しかし、こうも拡声器を使って大声でしゃべられて、何故【カインゼル】じゃ無い者達は。普通に生活が出来るモノだな」

 カインゼルAがそう言うと、隣にいたカインゼルBがこう言った。

「そりゃあもちろん、俺たちも『カインゼル』だからさ【特殊能力:魔法抵抗】は、『カインゼル』の証だぜ?」

 カインゼルBはそう言うと、小さく笑う。

「そんな事よりそろそろ、問題の塔じゃないか?」

 カインゼルBはそう言って塔を指さす。

「アッこら、地図を返せよ! これはオレの仕事何だから!」

「樽の数は…うへぇ、三つかよ⁉」

「だから、地図を返せよ‼ これ以上おれの仕事を取るんじゃねえ!」


 こうしてカインゼル達は、都市国家の下で『樽』を置いて行く。

 誰にも知られない様に、誰にも悟られない様に静かに──


約1週間ぶりです、何とか生きております。

では、皆さん次回お楽しみに。

多分また、1週間位掛かると思いますが。

なあに。生きていれば終わりも見えてくるさ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ