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その手にツルギがある限り!  作者: さんごく


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此処にある。

「あちらの世界でワシは【魔王】エメクの助手──いや『道具』に過ぎなかった。ワシがまだ若かった時に、ワシはあいつの持っている、クスリを──」

 年老いたヤビー・コルボの両手が羞恥心で震えていた。

「その先は良い。此処にいるほとんどの者が知って居る」

 六十七歳のヤビー・コルボはそう言って、八十七歳のヤビー・コルボの告白を止めた。

「し、知って居たのか?」

 八十七歳のヤビー・コルボは、驚きの表情を見せる。

「ワシはあの『祖国陥落』の時に、エメクの後にはついて行かなんだ」

 六十七歳のヤビー・コルボがそう言うと、初老を通りこして老人と化したヤビー・コルボが。驚きの表情を見せる。

「そうだったのか。ワシはこの国ランダルファで、お前さんが生活していると聞き。アノ計画の事を『知って居る』のか、あるいは『【魔王】エメクと共に遂行しているのか』と勘ぐっておったわ」

 そう言うと、頭の毛が薄くなっている老ヤビー・コルボは。自分の頭を撫でた。

「…アノ計画とはなんじゃ? お前さんは何を知っておるのじゃ⁉」

 ツンツンとした髪の毛を天井に伸ばした、若いヤビー・コルボが。真っ白いひげを蓄えた、老人のヤビー・コルボに迫る!

「あの【魔王】エメクは──まさにこの国の【王】なんじゃ! つまりエメクの決断は【王】の決断に他ならない!」

「【魔王】エメクがこの国の【王】⁉」

 ケイ・カインゼルが驚きの声を上げる。

「知っていたか? 六十七歳‼」

 年老いたヤビー・コルボからのトンでも無い『情報』を受け取り、ケイ・カインゼルはまだ初老のヤビー・コルボに詰め寄った!

「知っている訳が無かろう! あいつとは一年間の付き合いじゃが、顔を見れば何処の誰かは解かる!」

 襟首をつかまれ締め付けられて、ヤビー・コルボはペチペチとケイの右手を叩くが。『そんな事は知った事じゃねえ』とばかりに、ヤビー・コルボの首を締め上げる。

「コレコレ若者よ、何も知らない“ワシ”をいじめないでおくれ」

 ケイ・カインゼルが渋々襟首から両手を離すと。今度は八十七歳のヤビー・コルボに飛び掛かろうとしたが。

「お、お止めくださいケイさん。八十七歳の老人にあんな事をすれば、『ポックリ』逝ってしまいます」

 カインゼル達が二人のヤビー・コルボを庇ってしまったので、暴力に訴える事が出来なくなってしまったケイ・カインゼルは。鼻息も荒く床に座り込むとこう言った。

「要件は早く、正確に。わかっているな? ヤビー・コルボ‼」

 二人のヤビー・コルボは、手を取り合って頷いた。

「で? 計画とは一体何なのじゃ?」

 ツンツン頭のヤビー・コルボが、ボーボー髭のヤビー・コルボに聞いた。

「【不死】の計画はこの計画の“副産物”に過ぎない」

 頭の禿げたヤビー・コルボはそう言うと、【魔王】エメクの描く本当の事を喋った。

「あの【王】が考えているのは、簡単に言ってしまえば【世界征服】の計画じゃ」


 ケイ・カインゼルは、軽く十秒程口を大きく開けていたが。その後に行ったのは大爆笑だった。

「信じておらんな? ケイ・カインゼル」

 のたうち回りながら大笑いを続けるケイを見て、八十七歳のヤビー・コルボは顔を真っ赤にしてその様子を見ていた。

「だ、だ、だって。今どきの少年向け小説だって、そんな【突拍子の無い】設定は使わないぞ?」

 ケイ・カインゼルがそう言うと。回りのカインゼル達もうなずいたり、笑いをこらえる事に集中したりしていた。

「お、お前達まで信じていなかったのか?」

 ヤビー・コルボ(年齢八十七歳)がかるくショックを受ける。

「だいたいどう使えば欠陥品の【時空転送装置】が役立つのだ?」

 腹を抱えつつ、ケイ・カインゼルがそう言うと。年寄りのヤビー・コルボはこう言った。

「完成していたらどうする?」

「へ?」

 ケイ・カインゼルの笑い声が止まった。

「お前さんが笑った【時空転送装置】が完成していたらどうする?」

 ケイの吊り上がった両頬が静かに下がる。そして真剣な顔を崩さずに、こちらを見るヤビー・コルボに視線を合わせてこう言った。

「それでも対して変わらないと思う。たった一人を送ったってソレでどうこう出来る程、世界を変えるのは難しい。はず!」

 ケイ・カインゼルは真顔でそう言うと、年寄りの方のヤビー・コルボはうなずきながら。更に続けた。

「確かに一人や二人を送った所で、【歴史】を変える事はむずかしい。だが、その【時空転送装置】が千人いや。数万人を針の穴を通す程正確に送れる物だったらどうじゃ?」

「確かにソレが出来る程大掛かりな装置だったら、世界のことわりを壊せるかもしれない。でも、そんな大掛かりな【装置】が、この【都市国家】ランダルファの何処に有ると言うのだ?」

 ケイ・カインゼルは真顔でそう聞いた。

「此処じゃ!」

 年老いたヤビー・コルボはゆっくり立ち上がると、メイジスタッフの石付きで床を突く。

「この【都市国家】ランダルファこそ、【時空転送装置】その本体なのじゃ‼」

 八十七歳のヤビー・コルボはそう断言した。


さぁ、話が大きくなってきました。

この大風呂敷、僕は上手く畳めるのでしょうか?

では皆さん、次回お楽しみに。

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