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その手にツルギがある限り!  作者: さんごく


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殺戮。

【炎の壁よ!】

 ミーシャ・クロノスがそう叫ぶと、三十メール四方はある豪華な。だが、ホコリを被った家具の在る部屋の真ん中、ラハス・バレンツを守る様に【炎の壁】が吹きあがって。ハンス・ログが率いる【アイアン・マッスル団】の中でも、血の気の多い三人が、ラハス・バレンツに飛び掛かろうと前に進み過ぎた為に。真下から吹き上がる炎に飲まれてしまった!

 悲鳴を上げて床を転がる三人だったが、『重武装軽防具』を信条とする【アイアン・マッスル団】の中でも。『過激派』と呼ばれていたこの三人は。

『盾』以外の防具を持っておらず、あっという間に火だるまになってしまい、【炎】に包まれて動かなくなってしまった。


「クソ! あの女【魔術師】か⁉」

 ハンス・ログがそう叫ぶと、レクター・ドルフは自分の直属の部下である。【ブラック・ナイツ】に後退のサインを送る──だが。

「ダメです、後退出来ません!」

【ブラック・ナイツ】の後衛がそう叫んだ。

『一体何を言っているのか』と後ろを見て、レクター・ドルフは絶句する。

【いばらの生垣】がこの部屋への出入り口を、あり得ない速度で塞ぎ生い茂って行った。


「ラハス様出来る限り【幹部】は、生け捕りにしてくださいまし」

 ミーシャ・クロノスがそう言うと、ラハス・バレンツは静かにこう言った。

「解かっています。この国で起こっている事を、わたし達は余りにも知らなすぎる」

 ミーシャ・クロノスはうなずくと、ラハス・バレンツの前に展開している【炎の壁】を、左右に人一人分通れるように開いた。


 ラハス・バレンツがその隙間を通って行く。

 実際のところ、ラハス・バレンツの体は熱かった。

 青銅製の武具は熱を閉じ込めやすい。

 だが、ラハス・バレンツの顔には、その熱さも気にならなかった。

『此処で今から“大量虐殺”が行われる‼』

 それを行うのは自分だ!


 ハンス・ログとレクター・ドルフはその男を見ていた。

 燃え上る【炎の壁】を背にした百八十セチ・メール(約百八十センチメートル)の男。

 ハンス・ログは唾を飲み込む。燃え上る炎が暑いからでは無い。

【なんでそんなに笑って居られるのか‼】

 それが解からないからだった。

 燃え上る炎を背にして『スファ―ク国の勇者』は、ほほ笑んでいた。

「違うだろう、そうじゃ無いだろう!」

 レクター・ドルフはそう思った。此処はもっと感情的に【怒る】場所だろうと。

 であるのに何故そんな『爽やかな笑み』で我々を見る?

「ウッアアアアアア!」

 自分の部下が叫びながら『スファ―ク国の勇者』に襲い掛かる!

『何をやっているのか⁉』

 レクター・ドルフはそう言いたかったが、次の瞬間その男は左肩から右の肋骨までを。文字通り切断されて殺された‼

 鮮血が【勇者】を染める。

 ゆっくりと元の態勢に戻る【勇者】の顔は笑っていた。

 その瞬間、『常に冷静であれ』と教えていた【ブラック・ナイツ】が。『スファ―ク国の勇者』に飛び掛かる‼


 それはまさに【殺戮】だった。

『スファ―ク国の勇者ラハス・バレンツ』は、その圧倒的な【剣技】と【魔法】で、ひとり一撃で倒して行った。

「ええい、おまえ達も行けぇ‼」

『本能的』に。

「こいつは、ヤバい!」

 と感じ取っていた【アイアン・マッスル団】も、団長であるハンス・ログの『命令』には従わざるを得ず。『勇者?』ラハス・バレンツへと突っ込んで行き。殺されていった。

 床から部屋を二分割していた【炎の壁】が収まった時には【炎の壁】の、あちら側とこちら側で部屋の様相は一変していた。

 あちら側は、チョット煤けていたが。ダンジョンの中とは思えない立派な部屋だったが。

 こちら側は、控えめに言って血の池地獄だった。

「こ、殺せ!」

 ハンス・ログが精いっぱいの、『怒気』を込めてそう言ったが。ラハス・バレンツはそんなハンスをブロードソードの平で叩いた。

「痛ってぇなぁ…」

 そう言って睨むハンス・ログに、ラハス・バレンツは、とても小さい一本のナイフを投げた。

 けげんな顔をしてそのナイフを、手に取るハンス・ログに。ラハス・バレンツはこう言った。

「これからわたしはお前に質問をする。もし、その質問に『噓をついたり』『無言を貫いたり』した時は。お前は【自分の指】を一本切り落としてわたしによこせ」

「な⁉」

 ハンス・ログは思わずナイフを取り落とした。

「それではまず──」

 そんなハンスをしり目に、質問をしようとするラハス。

「待て待て待て、待ってくれ! それが【勇者】のする事か‼」

 ハンス・ログが思わず叫んだ‼

「ほぉ、質問に答える側が質問するとは、おもしろい。いいだろう応えてやる。そうだ、これこそが【勇者】だ‼」

 ラハス・バレンツが言葉を続ける。

「お前達は【勇者】に夢を持ちすぎだ。さわやかな笑顔を絶やさずあらゆる難題も簡単に解決し自分達よりはるかに強い魔物を正面から打ち倒して正義の為なら見返りもいらずに去って行く。そんな人間が長生き出来る訳が無い!」

 ラハス・バレンツは更に続ける。

「【勇者】だって腹を減らす。時には作物泥棒や家畜泥棒だってするし。本当に困窮すれば押し込み強盗でさえする。それでも【勇者】と【強盗】の違いは。【勇者】は『使命』を持っている事だ‼」

 大きく深呼吸すると、ラハス・バレンツがこう言った。

「わたし達の使命は『【魔王】エメクを倒す事』だ。その為ならば【魔王】の部下を【拷問】して【虐殺】する事など、小さな罪でしか無い」

 怨嗟の声にさえ聞こえる叫びをあげて、ラハス・バレンツは言葉を切った。

「少々しゃべり過ぎましたね、それでは“尋問”を始めましょう──おっと! ミーシャ・クロノス?」

「ハイ、何事でしょう、ラハス様」

 ラハス・バレンツを心酔している、ミーシャ・クロノスが頭を下げる。

「あそこで気絶したフリをしている黒服の男を、連れて来てはくれませんか?」

「かしこまりました、ラハス・バレンツ様」

 そう言ってミーシャ・クロノスは、レクター・ドルフの元へ向かった。

「ではこちらも始めましょう【魔王】エメクと、この城塞都市ランダルファとの関係からです──」


少し書くのに長くかかりましたが、何とか書けました。

「待っていた」と言う方申し訳ありません。

次もちょっと長くかかるかもしれませんが、待っていただくと嬉しいです。

では、次回お楽しみに。

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