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その手にツルギがある限り!  作者: さんごく


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エメク。

『ホウ、あの【名前だけの勇者】も中々やるではないか!』

 そう心の中で呟くと【魔王】エメクは手のひらに乗る位の水晶球を、ローブの中にしまい込むと未だ『少年少女』と言って差し支えない、【チルドレンギャング】の幹部五人に対して少し枯れ気味の声でこう言った。

「さて、わしの実力は分かってもらえたと思うが。どうかな?」

 先ほどの戦いを見て騒いでいた少年と少女が。【魔王】を名乗るこの初老の男性に、声をかけられて静かになる。


「それはもも、勿論うたがう事などありません。あ、あ、貴方様のチカラはまさに【魔王】を名乗るにふ、相応しい!」

 静まりかえった部屋の中を、少しどもり気味で話すチョッポの声が響いた。

「では予定通りにわしが『ケイ・カインゼル』を葬る事で良いな?」

【魔王】エメクがそう言うと。ここまで沈黙を貫いていた、ブロンドの髪を持っている事しか魅力の無い。トム・ハックスが割って入って来た。


「アンタの部下? かどうかも解からない奴らは、結局負けてしまったじゃないか? そこから【魔王様】アンタの何処を信頼出来るって言うんだ⁉」

「ちっ!」

 チョッポの舌打ちが響いた。それ程部屋の中は静まりかえっていた。

「青年、つまりワシの何処を信頼すればいいか解からないと言いたいの、じゃな?」

【魔王】エメクは抑え気味の声でそう言った。

「あ…、あぁ…」

 トム・ハックスの声には、数秒前の力強さが書き消えてしまっていたが。それでも言い切った。

「不遜にも程があるぞ。だが、今のワシはとても機嫌が良い。それに免じてワシが何故アノ『ケイ』と言う小僧に、負ける訳が無い【理由】を教えてやる」

 そう言った【魔王】エメクは部屋の奥にあるカーテンを紐で上げる。

 ガラス戸の付いた、本でも入れていれば良いインテリアになりそうな。棚があった。

 だがそこに入っていたのは、本では無かった。

 目を凝らして中を見ようとする五人。

「キャアアアアアア‼」

 普段冷静な白い髪を持つ十八歳の女性、キャリー・マスの口から悲鳴が上がった!


「分かったかな? 何故ワシが負けない理由が⁉」

 そう言ってカーテンをおろす【魔王】エメクは、年寄りじみた声で笑った。

「あ、ああ。良くわかったぜ」

『あんたはいかれている!』と言う言葉を口にはせずに、十五歳のトム・ハックスがうなずきながらそう言った。

「確かに負ける訳は無いな…」

 鼻の下にちょび髭を生やした十六歳の、筋肉至上主義者ハンス・ログは。トム・ハックスの次にそう発言した。

「──ああ、貴方の言葉を私は否定できない」

 細い手と足を持つ、長い髪から着ている服まで。『黒』で統一している十七歳のレクター・ドルフも、うなずきながらそう発言する。

「──…可哀そうな、ケイ様──」

 そう言って涙をふくのは【自称まじない師】のキャリー・マスだった。

「そそそ、それではわたくし達は。【兵隊】をかき集めて『自称【勇者】』の、相手をして見せますので。これでししし失礼します」

 そう言って予めにアレを見せられていた、チョッポは揉み手をしながら。最後にこの部屋を出て行った。


 この地下に存在する大きな屋敷の先に門があったが。その先の空間は黒い渦になっており、【魔王】エメクの許可が無いと、何処に飛ばされるか解からないようになっていた。

 その門へ早足で向かう四人に、チョッポは後から走って行く。

「ままま、待っておくれぇ、その門は『通行証』が無いと何処へ、飛ばされるのか分からなくなっているんだぁ!」

 四人はピタリと門の前で止まると、眉をいからせて。ドワーフよりも背の低い『おもに【諜報】で幹部となった』小男を待つ。

「ひい、はあ。ややっと追いついた…! 痛ってぇ‼」

 チョッポのまるで、キノコの様な髪の生えた頭に。トム・ハックスが鉄拳を打ち込む。

「痛いです! トム様‼」

 そう言って恨みがかった目を向けるチョッポを、まったく気にせずにトム・ハックスはこう言った。

「なんて奴と交渉しているんだ! 貴様はぁ‼」

 トム・ハックスが非難する視線で小男を見下ろしていた。

「でで、ですからわたくしは言ったじゃありませんか。『ちょっと待っておくれ』と…」

 そう言い訳をするチョッポに、トム・ハックスが何か言うとするが。

「まぁ待て、トム」

 そう言って、レクター・ドルフが止めに入る。

「止めるな、レクター!」

 案の定、頭に血の昇ったトム・ハックスは。レクター・ドルフにも噛みついて来る。

「お前の気持ちも解かるが、今は待て! アノ【魔王】エメクとか言う【魔術師】とパイプを、作って置いてくれただけでも、チョッポには借りが出来ているのだから」

「借りだと? あんな異常者とのパイプの何処に借りが有るっていうんだ⁉」

 まるで吠える様に叫ぶトム・ハックスに対して、レクター・ドルフは冷静だった。

「学が無いお前でも、この【都市国家ランダルファ】建国の歴史ぐらいは知っているだろ?」

 レクター・ドルフの言う建国とは、二百年以上昔の話だったが。老人達はまるで見て来たかの様に、誇り高く物語る話だったので。トム・ハックスも一度は耳にしていた。

「ああ、あのお話しか? 建国の【魔法使い】が出て来る──それがどうした?」

 トム・ハックスがそう言うと、それまで下を向いていた、キャリー・マスが話に加わる。

「レクター、貴方もそこに気づいたのね?」

 キャリー・マスが興奮気味にそう言って来るので、トム・ハックスが問いかける。

「二人だけで盛り上がって無いで、オレにも解かる様に話せよ!」

 トム・ハックスの問いかけに、チョッポも入れた三人が顔を見合わせると。レクター・ドルフが話始める。

「この国に立っている『塔』は、最も古い物で二百年は立っている。もちろん『塔』は【魔法】で建てられている、どこの誰が最初の『塔』を立てたのかは分からないが。ある老人達はこう言っている。最初に『塔』を作った人物の名前は【魔術師】エメクだと」

 レクター・ドルフが真剣な表情でこう続ける。

「この【都市国家】の基礎を築いた【魔術師】の名前は、エメク。そして我々の前に現れた【魔王】の名前も、エメク! まったく無関係とはとても思えないだろ?」


【門番】を務めているその青年の初めての夜勤の日。【門番隊】の隊長はこう言って自室へ入っていった。

「もしも怪しい人物がやって来た時は、迷わずオレを起こすんだぞ⁉」

 青年は愚直に、そしてしっかりとした姿勢で敬礼した。

【門番隊】隊長は、背筋の通ったその敬礼を見て大きくうなずいた。


 ──二時間後──

 二十両の馬車が北からやって来た。

「何事か?」

 青年は愚直に、先頭の馬車で手綱を操っている青年に声をかけた。

「スファ―ク国で疫病が発生して、緊急に『薬』を送り届ける最中なのです!」

 その話を聞いて【門番】の青年が、こう言った。

「何と、ソレは大変だ! よろしい、通って良い‼」

 そう言うと【門番】の青年は、大門を開ける【魔法の制御盤】を操作した。

「ありがとうございます、この恩は絶対に忘れません」

 そう言うと二十両の馬車が、都市の中に入って行った。


 馬車が全両【都市国家】ランダルファの中に、入るのを見て【愚直な門番】はこう思う。

「さて、おれも手伝わなければ」

 そう言った【門番】の青年は、律儀に【門】を閉じると。ヘルメットを取って蹴っ飛ばした。


ううう、まるで、綱渡り状態じゃあないか!

スッゴイプレッシャー。

っという事で、大分お待たせ致しました。

…これでも急いだのですよ?

では、又お会いしましょう。

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