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その手にツルギがある限り!  作者: さんごく


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27/48

予想範囲内。

 ラハス・バレンツは大きなあくびをして立っていた。

 その百八十セチ・メール(約百八十センチメートル)の身体は、博物館で飾られる大理石の彫刻を思わせた。

 だが、その金髪碧眼の凛々しい顔には『決して動かない彫刻』ではありえない、鋭い目付きがつけられてあった。

 ラハス・バレンツが左手に持っていたモノを、【アサシンのリーダー】に投げつけた。

 一瞬受け止めようとした【アサシンのリーダー】だったが。ラハス・バレンツが投げてよこした“三つ”の物体が何かを悟った彼はその場から逃げた。

 ほかの【アサシン達】も、ソレが何かを知ると慌てて逃げる。

【丸い人体の一部】三つが道路に転がった。

 ラハス・バレンツが、右手に持つ青銅製のブロードソードを構えて。その鍛えられた肉体をさらしてこう言った。

「さあ、次は誰がわたしの相手をしてくれるのかな?」

「……」

 ラハス・バレンツと、『本来の目的』であるケイ・カインゼルを見比べて。【残りのアサシン】が、皆同じ答えを感じた。

【アサシン達】はケイ・カインゼルを取り囲んだ。

「フッ後悔するなよ?」

 ケイ・カインゼルがそう言った時、【一組のアサシン達】が動いた!

 毒の塗られたナイフを、逆手に握るとソレを大きく振りかぶった【一人目のアサシン】

 同じく毒を塗られたナイフを、ケイ・カインゼルの左わき腹に、突き刺そうとする【二人目のアサシン】

 更にケイ・カインゼルの後ろから、身体ごと突っ込んで来る【三人目のアサシン】

 三人共別々の攻撃方法を見せる【アサシン達】

 そのうちのどれか一つでも当たれば、ケイ・カインゼルを葬れる三者三葉の連続攻撃。

 だが、視神経さえも【強化加速】しているケイにとっては、その様な動きは『脅威』では無かった。

 ケイ・カインゼルを中心として、突風が吹いた!

【アサシン達】が悲鳴を上げた!

 鮮血と共に三人の【アサシン】の右手首が飛んでいった。

 余りの神速と、正確な攻撃に【アサシン達】は後退して行く。

「後退するんじゃない! このままでは我々はリンチで殺されるんだぞ!」

 彼らにもそんな事は、百も承知だったが。だからと言ってこのままでは『標的に』殺されてしまう! 逃げる事も、だからと言って襲い掛かる事も出来ずに。ただ時間だけが過ぎて行く。


「えぇい! 使えない奴らだぜ‼」

 金髪に青い瞳を持っているが、ラハス・バレンツ程の顔を持っていない。トム・ハックスが悪態をつく。

「やっぱり俺が行った方が良かったんじゃねぇか?」

「いえ、もしもの時を考えて私も行きましょう」

 筋骨隆々とした身体と、鼻の下に伸ばしたチョビ髭を持つハンス・ログと。ストレートの黒い髪の毛を背中まで伸ばした、閉じているかの様に細い目を持つ。レクター・ドルフが発言する。

「──無駄でしょう。あのお方はこの十ヶ月で我々の誰と戦っても、『勝てる』存在になっております」

 この中で唯一の女性、キャリー・マスが顔の目から下を白い布で覆いつつ、大きな水晶球に【魔力】を流して今現在行われている【カインゼル襲撃】の現在状況を見せていた。

「す、すすす。すみません、【魔王】エメク様。この様な時刻に大勢でききき、来てしまって」

 低い身長に大きな耳と鼻を持つチョッポが、灰色のローブを着た『ここの主人』に謝っている。

「なに、構わんよ。ワシも退屈していたところだ」

 そう言って【魔王】エメクは、謝り続けるチョッポを遮った。


【魔王】エメクの、何処にあるのも解からない、『屋敷』にこの五人が招待されたのは、偶然では無かった。

 どちらかと言えば。チョッポの不適切な発言が原因だった。

 あそこで【魔王】エメクの名前を出したのはチョット問題だった。

「まあ良いさ、どの道誰かを“勧誘”しなければならないのだから」

 それに、中々楽しい『生中継』が見られたのも良い。

『ケイ・カインゼル。随分と立派に育った者だ!』

【魔王】エメクは思う。

『だが、そろそろ本来の目的に、戻ってもらわなければならない』

 そして、アノ女にも自分の本来の任務に、戻って貰わなければならない!

『くつくっく、』

【魔王】エメクは笑う。今の所、誤差の範囲内で物事は進んで行っていた。

【魔王】は確信する。

『全ては計画通り! 私の研究は正確に我が考え道理に動いている!』


【魔王】エメクは言った『計画通り』だと。

だが、と僕は聞きたい「その余裕が知りたい」と。

何故なら、僕は「そんな計画を知らない」からだ!

では、次回お楽しみに。

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