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その手にツルギがある限り!  作者: さんごく


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グレーター・グリフォン その三。

「ラハスの兄さんアンタと交渉がしたい、受けてくれたらアイツを倒すのに協力する!」

 ラハス・バレンツは一瞬考える。そしてこの状況を解決するには『この少年の提案に、乗らなければ無事に済まない』事を理解する、だがそれでいいのかとも考える。

「わたしの一存では決められない、仲間とそ『ラハス・バレンツ‼』」

 ケイ・カインゼルの持つシミターの切っ先が、ラハス・バレンツの喉元に向けられる。

「アンタ【勇者】だろ⁉ その両肩に仲間達の生死がかかっている時に、悠長に『仲間と相談したい』なんてどの口で言うつもりか‼ リーダーならば即断即決ぐらい出来なくては、誰も助ける事なんて出来はしないぞ‼」

 そう言うと、シミターの切っ先を一人残された。フェミール・アインに向ける!

「この先もアノ姉さんと旅がしたいのなら、今、この瞬間に、この場で、決めろ!」

 ラハス・バレンツの視線が、フェミール・アインに向けられた。『この先も一緒に旅がしたいかだって? そんな事決まっているじゃないか!』

 一人で残されたフェミール・アインがラハス・バレンツの視線に気付くと、どこか安堵の表情を見せてニコリと笑った。

 わたしは大バカ者だ! 危うく大切なモノを失う所だった! 青銅製のガントレットを握りしめる。

「彼女をどう助ける」

「あいつには人間がどれ程怖い生き物なのかが解かっていない。付け入るスキはそこしかない!」

 ラハス・バレンツは大きくうなずいた。確かにあの【グレーター・グリフォン】は人間をなめている。

「ラハスの兄さん達は【念話】を使えるか?」

『【念話】いわゆるテレパシーはこの世界の戦争を一変させた【魔法】だった。それまでの戦争では、前線への連絡網は【伝令兵】を通して行われていたが。【念話】が普及してからの戦争では、情報をほぼ時間的ロス無しで司令部と最前線をつなげた画期的なモノであったからだ。もちろん欠点がない訳では無い、例えば【念話と念話】の盗聴は比較的簡単に行えた。だがどこの国でも最早【念話】なしでは、戦線を維持する事は出来ない。そこまで戦争は【念話】に頼りきってしまっていた』

「もちろん出来る、母から教わった最初の【魔法】がその【念話】だった」

「──そうか…」

 何処か寂しそうにうつむくケイ、だがそれは一瞬で消え去った。

「それじゃあ、ミーシャの姉さんとフェミールの姉さんとで、こんな物を作れるか?」

 そう言って、ケイ・カインゼルは地面に落書きをする。

「ええ、このぐらいならば簡単に作れるわ」

「出来上がったら【念話】でおれに教えてくれ、そこまであいつを誘導する」

 ケイ・カインゼルはそう言った時、ラハス・バレンツはこう言った。

「わたしの出番は無いのかい? 少年?」

 ケイ・カインゼルはキョトンとした顔で【勇者】を見る。

「何を言っているか、止めをさすのはラハスの兄さんアンタ以外に居ないだろ!」

 その時、一際大きな声で【グレーター・グリフォン】が鳴いた!

「それじゃあ後の事は任せた、おれはチョット暴れて来る」

 ケイ・カインゼルはそう言うと、【グレーター・グリフォン】のいる方向へ走って行った。


「何者なのでしょうか、あの少年は?」

 半ば呆然とした顔で、ケイ・カインゼルを見送ったミーシャ・クロノスは。ラハス・バレンツにそう聞いた。

「さあ? だが、まあ敵対関係で無くて良かったよ」

 ラハス・バレンツは肩をすくめつつそう言った。

「本当にそうですね、敵対していたらどんな目に遭わせられるか解かりません」

 なにかがツボを押したかのように、クスクスと笑い始めるミーシャ・クロノス。

「それじゃあ始めますか、我々の【軍師様】から授かった作戦通りに」

 ラハス・バレンツは半ば冗談でそう言った。


「キャー‼」

 フェミール・アインの叫び声が響く!

「助けてください。勇者ラハス・バレンツ様ァー‼」

 フェミールの絶叫が響く中、【グレーター・グリフォン】は大きく開いた口の中に、【魔法陣】を描いて行く。

【グレーター・グリフォン】は、レアは好きでは無かった。一部炭化する程に焼き上げた肉こそが大好物だった。

【グレーター・グリフォン】の口の中に描かれた【魔法陣】に、『火』が灯る!

「ひい⁉」

 フェミール・アインが絶望の縁に立ったその瞬間、何者かが【グレーター・グリフォン】の喉をかき切ろうとした。

「ええい! 喉でさえここまで硬いとは、こいつに弱点は無いのか⁉」

 そう言ってフェミール・アインと【グレーター・グリフォン】のあいだに立ったのは、黒い髪はくせ毛で褐色の肌を持った百五十セチ・メール(約百五十センチメートル)の小さな少年だった。

「ケイ君…」

 一メール以上は有る『鋼』で出来たシミターを両手で持ちながら。ケイ・カインゼルはこう言った。

「フェミールの姉さん、勇者様と合流してくれ。おれがこいつと戦っているあいだに」

 フェミール・アインは頭一つ程背の小さい少年を見る。そして確信する『この少年は将来とてもモテる! いま現在でこれ程カッコイイのだから‼』

「姉さん! 聞こえているか? 勇者様と合流してくれ!」

 ケイ少年が大声でそう言うと、フェミール・アインは、ばね人形のように立ちあがって【念話】で話す。

「解かりました。そちらに合流します」

 そう言ってラハス・バレンツと【念話】で交信したフェミール・アインは。その場を離れようとするが、ケイ少年にどうしても一つだけ聞きたい事があった。

「ケイ君、あなた一人でこいつと戦って大丈夫なの?」

 ケイ・カインゼルは黙って【グレーター・グリフォン】を睨みながら、シミターから左手を放して親指を立てた!

『ラハス・バレンツ様ごめんなさい、一瞬だけこの少年にときめいてしまいました』

 そんな胸のときめきを押さえつつ、フェミール・アインは【勇者】ラハス・バレンツの元へ走った。


「さて、それじゃあ『殺し合い』を始めようか【グレーター・グリフォン】!」

 ケイ・カインゼルは、自分にかかっている【身体強化】の【魔法】を更に上げる為に。今以上に【マナ】を吸い始めた!

【グレーター・グリフォン】は驚く。ここまでの事をあの若さでおこなう事が出来るのかと。

 ケイは肥大化しすぎて、別の『人格』を持とうとする魂を抑えこみながら。【身体強化】の【呪文】を唱えた!

 ケイ・カインゼルの体が如実に変化を始める。

 服の上からでも解かるぐらいにケイの筋肉は膨らみ、そして先鋭化して行った。

 そして『副反応』が起こる。ケイの筋力強化が毛細血管を破裂させる!

 脳の中でそれが起きれば、ケイ・カインゼルは死ぬ!

 それが起きない内に、ケイ・カインゼルは活動し終えなければならない。

「うおおおおお!」

 ケイ・カインゼルは、雄叫びを上げながら【グレーター・グリフォン】に突進する。

【グレーター・グリフォン】もそれに応じる!

 ケイの体を【グレーター・グリフォン】のかぎ爪が引き裂こうとするが、ケイ・カインゼルの硬くなった皮膚には最早脅威ではない。

 だがそれは、ケイのシミターにも言えた。

【グレーター・グリフォン】の硬い皮膚には『鋼』で出来たシミターでも致命傷が通らない。

 そこへケイの頭の中で声が響く。

 それはこの戦いを見つめていた『女神からの祝福』に聞こえた。

「ゆくぞ、化け物!」

 そう言ってケイが【グレーター・グリフォン】に突撃した!

 生き物にはどうしても、『防御』出来ない弱点があった。

 その一つが『目』だった。

 その感覚器官と、神経の塊は。どの様な防御も出来なかった。

 ケイの持つシミターが【グレーター・グリフォン】の左目を襲う!

 今まで突撃しかしてこなかった敵の刺突攻撃に、【グレーター・グリフォン】は対処出来なかった。

 深々と刺さったシミターの切っ先に、【グレーター・グリフォン】は悲鳴にも似た叫び声が。荒れ地に響く。

「やってくれ、姉さん達!」

 そう言うと、ケイ・カインゼルは大きくジャンプした。

【落とし穴】フェミール・アインと、ミーシャ・クロノスが。そう【呪文】を唱えたのは、ケイがジャンプした直後だった!

【グレーター・グリフォン】が深さ八メール(約八メートル)の落とし穴から、出て来るのはほぼ不可能だった。

「ラハスの兄さん今だ!」

「任せろ!」

 そう言ってラハス・バレンツは、青銅製のブロードソードを構えて。落とし穴に飛び込む。

【稲妻はこの剣に宿る!】

 そう【呪文】を叫んで、ラハス・バレンツのブロードソードが【グレーター・グリフォン】の、脳天に突き刺さる!

【グレーター・グリフォン】は音を立てて崩れ落ちて、痙攣する事も無く動かなかった。


3430文字だそうです。

長かったー。

どう倒せばいいのか解かりませんでした。

次のモンスターは、ちゃんと弱点を考えとかないと。

では、次回お楽しみに。

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