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その手にツルギがある限り!  作者: さんごく


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グレーター・グリフォン その二。

 ケイ・カインゼルによって切り落とされた【グレーター・グリフォン】の指が、炎を噴き出しながら古びた道路の上を転がった。

 切り落とされてもなお燻ぶる【グレーター・グリフォン】の指を見て、フェミール・アインは尻もちを搗きながらこう言った。

「あのグリフォン【火】の【特殊能力】を持っているのね。それもかなり高位の!」


【特殊能力】とは【魔法】を使う上で、持っていなければならない必須の条件である。

 例えていえば、石に【泳ぎ方】を教えようとしても【水に浮く】と言う、【特殊能力】を持っていない限り浮く事さえ出来ない(逆に言えば【浮遊】の【特殊能力】を持っていれば、岩でさえ空中を浮遊出来る!)。

 その為【魔術師の卵】に求められるのは、【特殊能力】の有無であって『学歴』では無い。

 そしてその中でも【極めて珍しい特殊能力】を持つ弟子を見いだす事は、【魔術師】にとっての悲願なのだ。


「ケイ君、君の【特殊能力】って何なの?」

 ケイ・カインゼルは両手でシミターを持って、【グレーター・グリフォン】と合い対峙しながら考えてこう答えた。

「おれの【特殊能力】は【魔法妨害】だったと思う」

 フェミール・アインはまるで、雷でも落ちたかのような衝撃を受ける。

「そそそ、そんなトンデモなくレアな【特殊能力】を持つあなたに、あなたの師匠が教えたのは【身体強化】だけ⁉ なぜ? どうして⁉」

「おれの師匠【身体強化】は、得意じゃない、言っていたけど。それでもおれより強い」

 ケイ・カインゼルは更に続けた。

「おれはこのまま勉強しても、【特殊能力】は取れて一つか、多くても二つと言われたので、これ一本にしぼって勉強したんだ」

 フェミール・アインは納得した。つまりケイ君は【魔法使い】としての成長期を逃してしまった為に、『身体が基本の』【身体強化】に自ら特化したのか──あれ? いまの会話に少し違和感が──。

「フェミールの姉さんそんな事より、あいつを倒す方が先!」

 フェミール・アインは。ハッとして指一本を失った【グレーター・グリフォン】を見上げる。

「…怒っているわよね、さすがに指一本失くしたら」

 ケイ・カインゼルは、軽くため息をつきながらこう言った。

「それが当たり前だと思う」

 フェミール・アインは立ちあがると、ケイ少年にこう言った。

「逃げるって手はなし?」

「──何処へ?」

 カインゼルは回りを見わたす、雑草の枯草以外には荒れた土地しか無かった。

「冗談よ、これ程の相手でそれが出来るなら。真っ先に言っているわ!」

 フェミール・アインは、気合を入れる為に自分の顔をたたく。

「それじゃあケイ君『前衛』は任せた! しっかりと私を守って‼」

「わかった! 任せろ‼」

 ケイ・カインゼルは白い歯を見せて笑った。


『そうは言ったが、こいつの相手はちょっと大変だぞ』

 ケイ・カインゼルはこころの中で愚痴る。

『これほどの大きさがあって【特殊能力:火】さえ持つ、【グレーター・グリフォン】恐らくどこかの『冒険者組合』で【討伐対象】に指定されているはず。つくづく勿体ない』

 ケイ・カインゼルは自分の中で、何かが変わった事にまだ気づいていなかった。

 今の彼には【魔物】への恐怖心が、十ヶ月前に比べて見てあきらかに小さくなっていた。

『どう逃げるかでは無くどう倒すか』に変わっていた。

 彼、ケイ・カインゼルにとっては『劇的な違い』でありながら。その本人がその違いに気づいていない。

 今日までの十ヶ月間で、チルドレン・ギャングの頭であったケイ・カインゼルは、事実上その生涯を閉じて【魔闘士】ケイ・カインゼルに変わっていた。


 ラハス・バレンツは焦っていた。フェミール・アインとケイ少年の二人にはあの【魔物】は、あきらかに強すぎるそう思ったのだ。『一対一ではわたしでも倒せるか怪しい。だが、三対一であれば、分はこちらにある』そう思って【グレーター・グリフォン】に向かおうとしたわたしを止めたのは。【聖職者】ミーシャ・クロノスだった。

「なにをするか! このままではフェミール・アインとケイ少年は死──」

 そこまで言って初めてミーシャ・クロノスが、ケイ少年を指さしている事に気づく。

 次の瞬間【グレーター・グリフォン】が、悲鳴にも聞こえる声で鳴いた!

【グレーター・グリフォン】の前脚の指が一本切り落とされたのだ。

「なに、何だって⁉」

 ラハス・バレンツは困惑した。少年がいったい、何をしたのか分からなかったからだ。

「私にも何が起きたのか解りませんが、ケイ君は『か弱い少年』では無いようです」

 ミーシャ・クロノスがそう言うのと【グレーター・グリフォン】が【炎の息】を出そうと身構えたのはほぼ同時だった!」

 フェミール・アインは【魔法の盾】でそれを防ごうとしたのは理解出来た。

 だが、ケイ・カインゼルが【瞬間移動】でもしたかのように【グレーター・グリフォン】の前から、右斜め横へ移動したのは残像しか見えなかった。

 しかもその一瞬で【グレーター・グリフォン】の右腹部に、決して浅くは無い切り傷を作れる人間はそう多くはいない。

【グレーター・グリフォン】が突然出来た腹部の傷に絶叫した!

 その瞬間ラハス・バレンツの右側に突然、突風が吹くとケイ・カインゼルが現れた。

「なんて固い皮を持っているんだアノ魔物は‼」

 開口一番にケイ・カインゼルはそう言った。


グレーター・グリフォンとの戦いは、今回で終わるはずだったのに。

まだ続きます。

では、次回お楽しみに。

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