表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手にツルギがある限り!  作者: さんごく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/48

グレーター・グリフォン。

 ケイ・カインゼルが立ちあがって、後ろの荷台でウトウトしている、スファ―ク王国の【勇者一行】に叫んだ。

「もうすぐ、国境!」

「何だって、ソレは早すぎる!」

 寝落ちしかけていた【勇者】ラハス・バレンツは、思わず荷馬車の前へ歩いて行く。

「どうしたの⁉」

 今まで完全に寝ていた【聖職者】ミーシャ・クロノスが【魔術師】フェミール・アインを見る。

「もうすぐで国境ですって」

 大きなあくびをして、フェミール・アインがそう言うと。ミーシャ・クロノスもこう言った。

「いくら何でも早すぎます!」

 そう言うと自分の背負い袋から、スファ―ク王国を中心に描かれた地図を取り出す。

 前方で馬の手綱を握っていた、ヤビー・コルボの左側に座っている、ケイ・カインゼルの右横から。ラハス・バレンツは顔を出す。

「国境、あれ」

 そう指さす先には道路の両端に置かれた、二本の石柱が立っていた。

「あれが国境?」

【勇者】ラハス・バレンツが少し拍子抜けしたように、さほど高くも無い成人男性程の高さの国境線を見た。

「やはりおかしいです私の地図では、あの国境線はもう少し北東にあるはず!」

 地図と国境線を見比べて、ミーシャ・クロノス大きな声を出す。

 すると、ケイ・カインゼルは乾いた笑い声を上げてこう言った。

「地図なんて信じる方がおかしい。人間の主観が入って書かれた図形に、真実なんてありはしない」

「──そうかもしれないけれど、では真実って何処を探せば出てくるの?」

 そう言ったミーシャ・クロノスに、ケイ・カインゼルは革のブーツから一枚の金貨を取り出す。

「これなんてどうだい、この物体一枚で人は殺人さえおこす。人類の発明でこれ程“人のこころ”を動かすモノをおれは知らない」

「…そう言うモノが嫌いだから、私は【聖職者】になったのに…」

 そう小声で言ってミーシャ・クロノスは自分の両ひざを抱える。

「ハハハ、ミーシャ・クロノスの負けだね。どうだい少年、ミーシャ・クロノスを打ち負かした気分は?」

「ウチマカス。それ、なに?」

 ケイ・カインゼルは片言のスファ―クでそう言った。

 その後、国境をくぐり抜けた五人は、何処まで続いているのか解らない。平坦な道を更に奥へと進む。

「! ヤビー止まって!」

 ケイ・カインゼルがヤビー・コルボにそう言うと。辺り一面見える範囲を隈なく見る。

「今度はどうしたんだい? ケイ?」

 ラハス・バレンツがそう言うと、ケイ・カインゼルは真剣な顔でこう言った。

「何かの視線、感じた! とても危険‼」

 ラハス・バレンツも回りを見る、だが何も見えなかった。

「ケイ、わたしには何も感じ──!」

 今度の視線は、ラハス・バレンツにも感じられた。魔物の視線! それも結構大物の気配!

「あそこ‼」

 それは最初小さな点に見えた、だがその点はしだいに大きくなってゆく。

「ヤビー荷馬車の下に隠れて!」

 その“魔物”が近づくたびに隠れていた生き物達は逃げて行く。

「ミーシャ、フェミール! 援護してくれ。あいつはこの前の【ドラゴン】よりヤバい!」

 体長五メール(約五メートル)はあるその魔物は、ワシの頭と前脚、そして大きなツバサを持ったライオンだった。

「ケイ君も隠れて!」

 だが、ケイ・カインゼルこう言った。

「だめだ。逃げられないし、隠れられない! アノ大きさであの速度を出せる相手に、背中を見せたら真っ先に殺される‼」

 魔物によくある『突然変異種』と思われる【グレーター・グリフォン】が、しわがれた声で鳴くと大気が大きく振動する。

 ラハス・バレンツがブロードソードを、腰から下げた鞘から引き抜くと、ミーシャ・クロノスとフェミール・アインが。それぞれメイスと杖を構えた。

 そしてケイ・カインゼルが【鉄製の】シミターを背中に背負った鞘から抜く。

 ラハス・バレンツが小さく口笛を吹くとこう言った。

「素晴らしいシミターを持っているじゃ無いか少年」

 ラハス・バレンツの言葉に笑みを浮かべてケイは言う。

「おれの師匠からもらった、おれの一番大切な宝」

「来ます!」

 ミーシャ・クロノスがそう叫ぶと、高速で飛んでいる【グレーター・グリフォン】が、前脚を突き出して。最初の獲物に襲い掛かろうとラハスの上空を旋回していた。

「最初はわたしか、随分と甘く見られたものだ」

 ラハス・バレンツがそう言うと、青銅製のブロードソードに【魔法】をかける。

「【魔法の盾】【筋力強化】【皮膚硬化】ラハス様! これでどうですか⁉」

「何とかなりそうだ! ありがとう、ミーシャ‼」

 そう言って光るブロードソードを手に持った。ラハス・バレンツが、ミーシャ・クロノスに礼を言う。

「いえ、ラハス様がお勝ちになるように、手助けするのが私の役目ですから!」

 そう言ったミーシャ・クロノスは顔を真っ赤にする。


「ミーシャめぇ、又おいしいところを持って行って」

【魔術師】フェミール・アインがそんな事を小声で言っているその右横で、ケイ・カインゼルも何かを呟いていた。

【全身体能力強化】

「…え…」

 フェミール・アインが横にいるケイ・カインゼルを見る。

 その瞬間大量の【マナ】がケイの身体に吸い込まれて行くのを、フェミール・アインが目ではなく第六感覚で察知した。

「この子、今何と言った? 【全身体能力強化】⁉ あり得ない!」

 フェミール・アインがそう言いたいのも解かる、『肉体の強化方法』は段階的に行うのが普通の行ない方だった。そうしないと『体』が悲鳴をあげてしまう! 精神的に無理がかかる! だがケイ・カインゼルの体で起こっている事は、そんな一般常識を覆すモノだった。

「ケイ君あなた、そんな無茶な【魔法】を体に流して平気なの⁉」

 するとケイ・カインゼルは、少し呼吸を速めながらこう答えた。

「おれ、この【魔法】しか使えない。だからいっぱい練習した」

『──そう言う問題じゃあないのだけれど』そう考えていると、ケイは更なる爆弾を起爆させた。

「おれの師匠、更に凄い。【魔法戦士】なのにこの【魔法】更に、強くかける!」

 ──なるほどとフェミール・アインは考える。そんな【化け物じみた師匠】が平気な顔をしていたせいで、この子も【それが当たり前】という考えに至ったのか。

 今の内に、自分がどれ程【とんでもない魔法の使い方】を、しているのか教えるべきか。いやでも、その方法で【魔法】を使っているのも事実だし。


 ケイ・カインゼルは、悩み始めたフェミール・アインから視線を【グレーター・グリフォン】に移すと、そこには今にもラハス・バレンツを襲おうとしている【グレーター・グリフォン】を見る。

「フェミールの姉さん。ラハスの兄さんが危ない!」

 フェミール・アインはそう言われて、【グレーター・グリフォン】に振りむきざま【氷の槍】を飛ばす!

 アノまだ若い【ドラゴン】に致命傷を負わせた【必殺の一撃】だが、その【氷の槍】は【グレーター・グリフォン】には届かなかった。

 それどころか今の攻撃で【グレーター・グリフォン】の興味が移ったようで、大きなツバサを広げてこちらに走り出す。

「ええ? どういう事⁉」

 フェミール・アインは軽いパニックに襲われた。そしてそれは起死回生のチャンスを逃がすのに充分だった。

 フェミール・アインは目を強く閉じた。

 なにか硬いモノがぶつかる音がする。彼女は『死』を覚悟した。だが、ソレは中々訪れない。

「フェミール・アイン! 目をあけてすぐにその場から逃げて‼」

 ミーシャ・クロノスの叫び声が聞こえた。

 一体何事かと目を開けると、そこで行われていたのは。ケイ・カインゼルが【グレーター・グリフォン】と自分のあいだに入って、【グレーター・グリフォン】の指一本を切り落とした瞬間だった!


戦いが無いなぁ、っと思ったのでここで入れます。

今の所は良いのですが、この後どうなるか。

では、次回お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ