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その手にツルギがある限り!  作者: さんごく


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ケイ・カインゼル:序章九

 その翌日ケイ・カインゼルには、【剣と魔法】を覚える為の授業が待っていた。

「まずはケイ【マナ】を呼吸する事は出来る?」

 朝日の昇る中、ミナ・シェリルは【魔法】をあつかう人間にとって、【基礎中の基礎】をケイ・カインゼルに聞いた。

「馬鹿にするな【マナ】の呼吸法を知らなくては、死んじまうじゃあ無いか!」

 ミナは微笑んでうなずいた。

「そう、その通り【マナ】の呼吸法を知らないと、死んでしまう…でもねえ」

 ミナ・シェリルは憂うつな顔をして話を続ける。

「才能ある子たちの中には【マナ】の呼吸法を知らないで【オド】を、自分のたましいをそうとも知らずに削って行って。早死にしてしまう子供もいるのよ」

 ケイもその話は知っている、事実七年前にチルドレン・ギャングで“後方援護”をしていた、部下の一人が【オド】の使いすぎで死ぬのを見ている。

「あら、そんなことがあったの?」

 ミナがまた、ケイ・カインゼルの心の中を視てそんな事を言い出す。

「あ! また人のこころを勝手に視たな?」

 ケイはそう言うと、『記憶』にロックをかける。

「──聞きたかったのだけど、その【特殊能力:魔法妨害】は誰から教わったの?」

 え? 【特殊能力:魔法妨害】? そんなモノおれは使っていないぞ?

 そう思っていると、ミナ・シェリルが眉間にしわを作ってケイの顔を見ていた。

「今度は何⁉」

 ケイ・カインゼルが、二歩ほど後ずさりしてミナ・シェリルから距離をとる。

「…やっぱり駄目ね、とても強力なこころの壁だわ」

 そう言うとミナ・シェリルは、肩をすくめて首を横に振る。

「まあ、いいか。私の教える事とは今のところ関係ないしね」

 ミナはそう言って話題を変える。

「【オド】の使い方と【マナ】の呼吸法は知って居るのなら、後はそれらを体内に循環させて【身体強化】に持って行けばいい、か」

 そう言ったミナ・シェリルは、右手人差し指をケイに向けた後。おもむろに【火弾】と言う【魔法】をぶっ放した!

「うお⁉」

 思わずケイは体をのけ反らして避ける。

「いきなり何をするんだ、ミナ・シェリル!」

「安心しろ、ケイ・カインゼル。威力は最小限にしている。だから、走れ!」

 そう言ったミナ・シェリルは、【火弾】をケイの足もとに五発連続で放った。

「ウアアアアアアアア‼」

 でたらめなタップダンスを踊るようにしながら、【火弾】を避けるケイ・カインゼル

「ほらほら、そんな避け方ではいつかは当たるぞ、走れ走れ!」

 更に五発、足もとへ放たれる【火弾】をケイは何とか避け続けるが、ミナ・シェリルが左手の人差し指までも使おうとしているのを見て逃走を始める。

「おれが一体何をしたぁ!」

「フッフッフ、何を今さら言っているんだ。チルドレン・ギャングのもと頭」

「──…」

 確かにその通りだと思ってしまい、反論できないケイ・カインゼルだった。


  ──数刻後──

 息も絶え絶えであおむけに寝っ転がる、ケイ・カインゼルを見てヤビー・コルボはこう言った。

「ミナ・シェリルこれでは、弟子が寄り付かんのも当たり前じゃ」

 ミナ・シェリルは、ケイ・カインゼルの隣で正座をさせられていた。

「…私としてはこれでも手加減をしたつもりなのですが…」

 そう言ってミナは地面を、右手人差し指でほじくり返していた。

「…まあ、わしの教える【魔術】を、その体で覚えるのに丁度良い」

 そう言ってヤビー・コルボは、ケイに近づくとおもむろに【呪文】を唱える。

「あ、あれ? 急に体が楽になった」

 ケイは体を起こすとパンパンに張れていた足をさする。

「どうじゃ、わしがお前に教える【回復術】は?」

 ケイ・カインゼルは感動の余り涙を流す。

「ヤビー、いや先生! おれあんたについて行くよ‼」

「うむ、よくぞ言った! 道のりは険しいがわしについてこい!」

 両手を握り合い、感動の涙を流す二人に背を向けて、ミナ・シェリルはひざを抱えて落ち込んでいた。


12話、ケイ・カインゼル:序章9でした。

まだまだ序章は続きます。

復讐するには、ケイ君はまだまだ弱いのです。

では、次回お楽しみに。

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