8.ダンジョンにて(最終回)
「今更ながら、本当、美少女天才博士として噂に名高い博士に声を掛けて貰えて光栄です! まさかそんな事が起こるとは夢にも思わず、天にも昇る気持ちでしたよ! 助手を雇わない事で有名な博士が、まさかって! あまりにも幸せ過ぎて、今まで何度か気を失った事もあるくらいです!」
「それは良いが、助手君。背後に気付かず、そのまま本当に天に召されないように気を付けたまえ」
「何言ってるんですか博士――って、うわぁ! 後ろにモンスター! うひゃっ! しかも、分裂した! あっと言う間に八匹に!」
「複製だね。しかもその魔土人形が行うのは、ただのコピーじゃない。オリジナルと同じ性格で、同じ記憶を持った複製なんだ。完璧なクローンと呼んで良い」
「そうなんですね! って、あれ? 攻撃してこない?」
「魔土人形は、大人しい性格のモンスターだ。複製して数を増やして脅かし、敵が去るのを待つのが基本戦略なのさ。無論、こちらから攻撃すれば、反撃して来るがね。助手君、くれぐれも攻撃しない事だ。分かったかい、絶対に攻撃してはいけないよ。何があっても、攻撃だけはしてはいけない」
「そんな〝フリ〟をされても、攻撃しませんよ!」
「もしかして、助手君。まだ気絶していないのかい」
「複製にビックリはしましたが、流石にこんな事で気絶する程は弱くありませんよ! 僕を何だと思ってるんですか!?」
「だが、今まで何度も気絶しているだろ?」
「それは……まぁ、そうですが。でもあれは、博士の助手を出来る事が滅茶苦茶嬉しかったからで――」
「何回気絶したんだい?」
「え? えっと、四回……いや、五回だったかな……」
「気絶している間に何があったかは覚えているかい?」
「いえ、何も……。そう言えば、毎回、目覚めた時には、結構時間が経っていたような……」
「さて、助手君。クイズだ。オリジナルから数えて、君は何番目だと思う?」
「!」
―完―
最後までお読みいただきありがとうございました! お餅ミトコンドリアです。
新しく以下の作品を書き始めました。
【無自覚最強おっさん武闘家】田舎道場師範の無名おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女である事が判明、何故か全員から言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
https://ncode.syosetu.com/n6791kz/
もし宜しければ、こちらの作品も星とブックマークで応援して頂けましたら嬉しいです。何卒宜しくお願いいたします!