5.ダンジョンのトラップ(1)
「え!? じゃあ、このダンジョンから永遠に出られないって事ですか、博士!?」
「助手君、覚悟を決めたまえ。我々は巧妙な罠に引っ掛かったのだ」
「〝巧妙〟て。〝壁にあった明らかに怪しいボタン〟を博士が押したからじゃないですか……」
「時に助手君。今までに女性とお付き合いした事はあるかい?」
「きゅ、急にどうしたんですか!? か、顔が近いですよ!」
「良いから答えたまえ」
「あ、ありませんよ!」
「今までに彼女がいた事は無く、今もいない、と?」
「ええ、そうですよ! 何言わせるんですか!」
「ふむ。それは良かった。安心したよ」
「え? それって、どういう――」
「実は、私は常々、君の事をもっと知りたいと思っていたんだ」
「! そうだったんですか!」
「ああ、そうさ。君の中身にとても興味があってね」
「! 嬉しいです! 実は僕も、博士の事、良いなぁって思ってて! すごく頭が良いし、滅茶苦茶可愛いし!」
「私のためなら、何でも出来るかい?」
「勿論です! 博士のためなら、たとえ火の中水の中、ですよ! って、こんな所に祭壇が!? え? まさか結婚式ですか!? やだな~、まだ早いですよ~! まずはお付き合いして、結婚はその後に……って、え!? 何ですか、博士……そのナイフは……?」
「どうやら、〝異性と交わった事のない人間の臓物をここに供物として捧げる〟事で、罠が解除されるみたいなんだ」
「え!?」
「なぁ、助手君。〝君の中身にとても興味がある〟んだ。〝私のためなら、何でも出来る〟んだろ?」
「!」