3.宝箱補充係
「来ましたね、ダンジョン! 異世界と言えば、やっぱりダンジョンですよね、博士!」
「助手君はダンジョンが好きなんだね」
「勿論ですよ! 薄暗い不気味なダンジョンの探索! モンスターとの戦い! 宝箱やボスの討伐によって、貴重なアイテムを入手! 浪漫ですよ!」
「そんなに宝が欲しいのかい?」
「そりゃ欲しいですよ! 冒険の醍醐味じゃないですか!」
「なるほどね。でも、宝箱がどうやって補充されているかは知らないよね?」
「え? あれって、補充されるんですか? てっきり、取られたらそのままだと思っていました」
「それじゃあ、後から来た冒険者たちが可哀想だろ?」
「確かにそうですね。では、どうやって補充しているんですか?」
「宝箱は、一種の魔導具なんだ。だから、自動的に補充されるんだよ」
「へぇ~! 便利ですね! 宝が取られたら、すぐに補充されるんですか?」
「いや、まずはミミックに変わる」
「え!? 何でですか!?」
「ミミックは、人間を襲って食べるだろ?」
「はい」
「実は、ミミックには〝養分を宝に変換する能力〟が具わっているんだ」
「げ。まさか……」
「そう。〝人間の養分を宝に変換〟するんだ」
「うわぁ……」
「その後は、また普通の宝箱へと戻る、という訳さ」
「知りたくなかったです……もう、宝箱のアイテムは要らないかな……」
「ところで、このダンジョンでは、最近冒険者によって宝が取られ過ぎてしまってねぇ。〝養分が足りない〟んだが……チラッ」
「!」