夏の風を君に。
誰も居ないバスの車内
窓ガラス越しの夏の日差し
いつもとは違う行き先
君の居ない何処かの街
会いに行きたかった たった一度でも
書きかけのメッセージ 手もとに置いて
海岸線が見える 終点のバス停から
青い海と空の境目
水平線が貴方と私とを隔てる
ずっと ずっと
海の向こう 空の向こう
見上げるほど高くて届かない
雲が流れて行く 青く青く透きとおる
何処までも 吸い込まれてしまいそう
手を伸ばした 空
泣いてなんかいないよ
遠い雲の彼方を追い掛けていたら
今日はここまで来れたから
いつもの不安なんて
海へ 空へ
風に乗せて 晴れ渡って行く
夏の暑さ 額ににじんで
太陽の光に 目をつむった
君と歩く砂浜
私ひとりの砂浜
今がそうなら未来を変えて
小さな海辺の祠に
竜宮神様が眠っている
起こさない様に
静かに会釈して通り過ぎた
何かを期待してはいけないから
鞄の中の書きかけのメッセージ
そっと開いた 青空の下
夏の暑い風 白い雲
貴方は何処で 見ているかしら