今日はどんな日?
今日は、どんなお客様に出会えるかしら
一人の女性の方がご来店。
二十代かしら。
「いらっしゃいませ‼︎」
元気よく笑顔で接客を心がけてます!
お客様、なんだか決心を決めてこのお店にいらしてくれたみたい。
…〜…〜…〜…〜…〜…〜…〜…〜…
私の名前は 田村あつこ。
二十三歳。
今同棲している彼がいる。
もう一年くらい同棲中。
でも、どうやらあいつ浮気してるっぽい。
彼の名前は隆弘 タカヒロ。
一つ年上。
同棲するってなった時は、すっごく嬉しか
ったし、このまま結婚なんて思ってたんだ
けど今はとにかくただただ別れたい。
だってタカヒロ、私の親友と浮気したみた
い。
許さないんだから‼︎
しかも、親友のサチまで
「最近タカヒロ君とどうなの〜」
なんて探り入れてくるしさ!
このお店に来る前にだいたい荷物をまとめ
ておいた。
すぐにでも出て行ける状態。
そして実は次の引っ越し先も決まっている。
タカヒロとは、夕方待ち合わせをしている。
彼の仕事終わりに合わせて。
いつも家では、ジャージで過ごすことが多
かった。
部屋着かわいくしてたら浮気されなかった
かな?
もっとオシャレして一緒に出かけてれば浮
気されなかったのかな?
なんて頭をよぎる。
私がケータイに夢中だったから?
漫画ばっかり読んでたから?
でも‼︎
もう一度裏切ったやつなんか捨ててやるん
だから‼︎
けど、なんで最後のデートでオシャレする
かって?
それは、タカヒロを後悔させる為‼︎
こんなかわいい子を…
もったいない事したなってね。
そして、このお店でとびきりオシャレにか
わいくイメチェンしていただいた。
髪型もユルフワに。
「わぁ〜自分じゃこんなにうまくできない」
って言うと簡単ですよ〜ってやり方までて
いねいに教えてくれた。
イヤリングもかわいいのがたっくさん!
ワンピースか、ズボンか迷った時もスタイ
ルと今日の髪型的にワンピースの方がお似
合いですとアドバイスをいただいた。
香水なんかも揃っている。
今日の気分は、爽やか系。
ほんのり香るように
シュッ。
靴の貸し出しまである!
きちんと抗菌してあるので安心してお履き
くださいって書いてある。
なんだか、気分はシンデレラ。
これから舞踏会〜みたいな。
そして、ついに変身終了ー。
「わー、なんか別人みたい。ありがとうござ
います」
お礼を言うと
「素敵な笑顔ですよ」
と褒めていただいた。
お店を出て待ち合わせ場所へと向かった。
なんか、チラチラ男の人がこっちみてる。
フフン。
私もまだまだ捨てたもんじゃないわ。
そして約束の時間
タカヒロがこちらに向かってきた。
「あー、タカヒロ。こっちー」
わざと笑顔でお出迎え。
タカヒロ一瞬戸惑ってなかった⁈
私の美貌に驚いたんだわ。
フフッ
お食事中も美味しいね〜なんてわざと楽し
そうにした。
う、うん。と返事をするタカヒロ。
戸惑ってる。戸惑ってる。
最後のデートが無事に終わり帰ろうってな
った。
家に帰ったらもう荷物まとまってるからそ
のまま出て行く予定。
浮気男と終止符。
帰り道タカヒロが言った
「あのさ…」
なんだ。今日綺麗だねっていうんだろ⁈
そしたら、違った。
全然違う…
「あのさ…あつこの笑顔久々にみた」
なんて言われた‼︎
しかもタカヒロ嬉しそうに笑った。
やばい…
私は、タカヒロの笑顔が大好きだった。
なんで今更そんな笑顔私に向けれるわけ?
「は?私笑ってなかった⁈」
「うん。ここ最近全く」
… … …
「だからって浮気する事ないじゃん‼︎」
「え?浮気⁇」
「とぼけるな!私の親友サチと、この前楽しそうにランチしてただろ‼︎みたんだよ!」
「あー、見られてたか…」
‼︎なんだその言い方‼︎
カチンときた‼︎
でもなんにも言葉を返さなかった。
するとタカヒロが言った。
「実はさ、最近あつこが笑わないから相談に
のってもらってた」
なんて見えすいた嘘をついてきた。
「そんなの信用ならない」
「じゃあ、これなら信用してくれる?」
タカヒロがバックから何かを取り出した。
それは、まさかの憧れていたキラキラの
指輪…
「最近あつこよくケータイみてたし漫画に夢
中だったからオレ空気みたい?なんて思う
ようになって。で、実際どうなの⁇と思っ
てたらたまたまサチさん見かけてランチお
ごる代わりにさ、どう思ってるか聞いても
らったわけ。」
あ!そう言う事…
そんなの知らないからサチには、強がって
いい感じなんて言っちゃってた…
「なら、直接聞いてくれたらいいじゃん‼︎」
「うん。そうだったかもな。それが一番よか
ったなー。実はこの指輪どうやって渡そう
とかサプライズしようかななんて考えてた
らさ、どんどんあつこ笑わなくなるし、不
機嫌かと思えば今日は、よく笑うし何?
って、頭混乱した。」
そう言いながらしゃがみ込むタカヒロ。
なんか、子供みたいでかわいい。
タカヒロの頭をくしゃくしゃってしてやっ
た。
やめろよって髪を整えて真顔になったタカ
ヒロ。
「あつこ。結婚しよう」
真剣な顔のタカヒロ。
指輪が月に照らされてキラキラと輝いてい
る。
その言葉に私は、
涙ながらに
「はい」
って答えた。
指輪をはめてもらって顔を見合わせて笑っ
た。
そして、タカヒロがぎゅっと私を包み込ん
だ。
「今日綺麗だね。あといい匂い」
なんて言われた。
今頃…
でも、うれしい。
帰ったら荷物まとまってるのなんて言おう
かな…
アパートもキャンセルしなきゃ。
別れるつもりが結婚なんて思いもしなかっ
た。
今日は、パッピーデイにかわった♡
こんな素敵な日にきちんとオシャレしてて
よかった。
…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…
カランコローン
「いらっしゃいませ‼︎」
続く。