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第26話 最後の生徒会長

 学校閉校まであと二ヶ月半。

 三年生は、部活と委員会は引退となっている。

 そんな中、新しい生徒会長を選出する時期がやってきた。

 あと二ヶ月半だけの生徒会長だが、三年生を送る会、卒業式、閉校式といった大舞台での挨拶という大役が待っているのだ。


 二年生の中で生徒会長を務められそうなのは、成績も良く、機転が利く明日香であることは本人以外が認めていた。

 そのため、推薦で明日香が生徒会長に選出されることとなった。

 一応、形式的に演説と投票が行われる。

 当の本人は、やる気があまりないようだ。

 というか、二年生全員、わざわざ新しい生徒会長を決めることに意味がないと言っていたのだ。

 先生から大役だと言われると、徐々に理解をするようになった。


 そして、演説の日。

 音楽室に全員集まって、明日香の演説兼投票をすることになった。


「残り少ない時間の中での生徒会長の責務を、十分に成し遂げたいと思います。最後まで姫乃森中の伝統を守り、後輩へと引き継いでいけるよう皆さんご協力のほど、宜しくお願いします」


 明日香の演説後、投票を行った。

 選挙管理の係は三年生が行うことになっている。

 全員が投票し、二年生は退室した。

 そして、私達三年生は開票作業に取りかかった。


「まぁー、開票しなくても分かるんだけどね」


 私は投票箱から用紙を拾いながら呟いた。


「一応、形としてだからね」


 立ち会っていた川村先生がなだめるように言った。


「てか、七枚しかないから一目で分かるね」


 千秋が綺麗に投票用紙を並べながら言った。


「そうだねー。最後かー……。やっぱり寂しいね」


 ふーが寂しそうに言った。


「最後まで頑張ってくれるよ! 二年生もやる時はやる子達だから、私達も二年生のみんなのことを応援しよー!」


 私がそう言うと、千秋とふーが笑顔で「そうだね」と言って頷いてくれた。


「う~ん……」

「どうしたんですか? どこか間違いとかありました?」


 私は、物足りないような顔をしている川村先生に話し掛けた。


「いやぁ~、オレの名前を書いてくれている人が誰一人いないなーと思って……。こんなにハンサムでイケててクールなナイスガイなのに……。おかしいなー」


 おかしいのは川村先生だろ。

 私達三人は心の中で、そうツッコんだ。


「さっ、開票も問題なく終わったし、教室に戻ろー」


 ふーが片付けをしながら言って、音楽室から出て行った。


「そうだねー、うちらも行こう、なっつー」

「うん。お疲れさんでした~」


 私と千秋も川村先生のことを置いて、教室へと戻って行った。


「……。つれないなー」


 川村先生がボソッと呟いた。

 すると、その様子を見ていた内藤先生が一枚の紙を川村先生に手渡し、優しく話し掛けた。


「川村先生、これも生徒達の愛情の反応ですよ。はいこれ」


 その紙は、投票用紙の予備のもので、そこには『川村正樹』と書いてあった。


「内藤先生! ありがとう! 大事にする! やっぱ、先生は優しいなぁ~」


 川村先生は半分泣きそうになりながらもそう言って、嬉しそうに舞い上がっていた。


 こうして、満場一致で生徒会長は明日香に決まった。

 まぁー、みんな分かっていたことではあったが……。

 後日、正式に全校生徒へ投票結果が伝えられた。


「頑張ってね、明日香」

「がんばー」


 みんな明日香に労いの言葉をかけてあげていた。

 本人はダルそうにしていた。


「卒業式まではなんとなく分かるけど……。閉校式って何をやらされるんだろう」


 立派に成し遂げてくれるだろう、みんな明日香のことを信頼している。

 協力することがあれば、みんな快く協力してくれるだろう。

 頭もきれるし、行動力もある。

 最後の生徒会長にふさわしかった。

 ある意味、たった二ヶ月間という伝説的な生徒会長になった明日香であった。


 卒業、閉校への準備が着々と進んでいる。

 この現実は、生徒会長選出で思い知らされたのであった。

 

 それから数日後、二年生が妙にバタバタしていた。

 この時期だから、三年生を送る会の準備でもしているのだろう。

 早速、生徒会長の明日香を中心に動いていた。

 そして、私と千秋はソワソワしていた。

 そう、一般入試が近いのだ。

 私と千秋は、受験に向けてラストスパートに入っていた。

 第一志望校の合格を目指して……。

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