手紙
目をつぶってごらんなさい
あなたには何が見えますか
はるかなる草原に澄みきった青い空
でもそこには花もなければ蝶もいない
ときどき風はふくけれど人工草はうごかない
そんなときは誰かの手のぬくもりを思い出しなさい
あなたを思って握ってくれた人の手を思い出しなさい
もしもそんな人はいなかったというのなら
今すぐ「あの人」の手を握りなさい
もしもそんな勇気がないというのなら
あたたかい紅茶にひとさじの砂糖をいれて
目をつぶって飲みなさい
数回数十回数百回ねむった後に
あなたは誰かの手を握っているはず
そしたらもう一度だけ何が見えるかためしなさい
もしも静寂と技巧がつづくというのなら
わたしがあなたの手を握りましょう
そしたらあなたの手のぬくもりが
わたしの「誰か」の手のぬくもりとなるでしょう