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地味子ちゃんと恋がしたい―そんなに可愛いなんて気付かなかった!  作者: 登夢
愛人を失ったオッサンが失恋した地味子を嫁にするまでのお話
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地味子ちゃんが変身してゆく!

地味子ちゃんの相談にのってから3か月が経った。あれから毎週末に家のパソコンへ食事の内容がまとめてメールされてきている。


食事の内容に気が付いた点があれば、その都度、メールで意見を伝えている。運動もきちんとしているようで、通勤時に一駅手前からの徒歩もこなしていると言う。


そういえば、近頃、身体が締まってきているようだ。コロコロだった体形もスリムになってきた。まん丸顔も細面になってきた。もともと目鼻立ちが整っていたが、それが目に見えて分かるようになってきた。


化粧も薄化粧ながら上手になってきているようだ。メガネをはずせばそれなりに見られる顔になってきたと思う。


ただ、社内では相変わらずのリクルートスタイルだし、メガネもそのままでちょっと見たところの外見は以前と変わらない印象を与えている。でも、実質、徐々に変身しているのは間違いないようだ。昼休みに声をかけてみる。


「どうだい、少しずつ変身しているみたいだけど、ちょっと飲みにでも行くか?」


「はい、丁度相談したいことがあります」


「じゃあ、例のスナックで7時に」


スナックに着くと地味子ちゃんが凜と話していた。


「早く着いて、僕の悪口を言っていたんだろう」


「いいえ、磯村さんを褒めていたんですよ」


「そのとおりです。いつも相談にのってもらっていますから」


「ところで変身の具合は順調のようだね」


「お陰様で身体が引き締まってきました。頬も締まってきました。体調も良いです」


「野坂さんとはどうしているの?」


「野坂さんには姉妹がいなかったので、妹ができたみたいと言って親身になってもらっています」


「それはよかった」


「野坂さんがショッピングに出かける時に声をかけていただいています。ついて行って衣服の選び方やコーディネートの仕方、化粧品の選び方やメークの仕方などを教えてもらっています」


「でも会社では相変わらずのスタイルだけど」


「野坂さんはその方が仕事に集中できて良いと言ってくれますので」


「じゃあ、なかなか変身できないじゃないか」


「野坂さんはプライベートな時に大胆に変身したらインパクトがあるとおっしゃっています」


「プライベートの時だけ変身するっていうこと?」


「そうじゃないと、衣料費にお金がかかってしょうないと言っておられました。私もそう思います」


「それで、着こなしは上達したの?」


「コーディネートのコツも教えてもらっています。大分、分かってきました」


「それはよかった。そのうち見てみたいものだ」


「相談ですけど、新庄さんとお話がしたいので何とかチャンスを作ってもらえませんか?」


「そうか、アタックしてみるか?」


「そういう訳ではありませんが、いつまでもこのままの気持ちではすっきりしなくて」


「君はいつでも前向きだね、羨ましいよ」


「私はいつでも今の時間が一番大切だと思っていますから、今すぐにしないと気が済まないんです。いつやるか、今でしょうって言うじゃないですか」


「せっかちだね」


「そうかもしれませんが、思い始めると先延ばしにはできないんです。もしダメなら別を考えればいいですから」


「それもそうだね、分かった。直接、君にどうしろというのも何だから、何とか手筈を考えてみよう」


なんとかしてやりたいが、その手だてはどうしたものか? 野坂さんに相談してみるか?話が終わったと見たママが声をかける。


「大事な相談は終わりましたか?」


「ああ、ママ、お会計をお願いします」


「もう、お帰りですか? ゆっくりしていって下さいね」


「今日は帰るよ」


凜が顔を近づけてきて小声でいう。


「あの娘に義理立てしているの?」


「そんなんじゃないけどね、また来るよ」


ここのところ、月に1回は泊っている。


***************************************

次の日の昼休み、野坂さんに電話すると丁度席にいた。


「ちょっと相談があるんだけど」


「後輩の米山さんと昨日飲んで聞いたけど、面倒を見てやってくれていてありがとう」


「気にしないで、丁度妹みたいな感じだし、素直だから面倒の見がいがあるわ。休日にシッピングに一緒に連れて行ってあげているだけだから」


「ちょっと提案なんだけど、少し時間が経ってしまったけど、新製品の広報のお礼も兼ねて、飲まないか、4人で」


「4人って、メンバーは?」


「君と僕と新庄君と米山さんだけど、新庄君は君の大学の後輩だよね」


「妙な組み合わせね。いいけど、日程調整してくれれば付き合うわ。土曜日にしてくれればなおいいけど」


「分かった、ありがとう」


確かに言われてみれば、妙な組み合わせだ。まあ、地味子ちゃんと新庄君の顔合わせのためと言う訳にもいかないから、説明のしようがない。それから、席に座っている新庄君のところへ行って小声で飲み会の話をする。


「今週の土曜日に飲み会をしようと思うんだけど、来てくれないか?」


「どんな趣旨ですか?」


「あえていうと世話になった野坂さんへのお礼の会と言うところかな」


「メンバーは?」


「野坂さんに、僕と新庄君だ。二人は新製品の発表でお世話になったし、それに君は野坂さんの大学の後輩だったよね」


「3年後輩です」


「それに僕の大学の後輩の米山さんも」


「ええ、あの地味な米山さんも?」


「実は米山さんも野坂さんの世話になっているんだ、プライベートなことだけどね」


「そうなんですか」


「どうかな、来てくれないかな」


「いいですよ。磯村さんの顔を立てて」


「よかった。これでメンバーが揃った」


そのあと、野坂さんと地味子ちゃんに土曜日の夕刻に飲み会が決まったことを連絡した。場所と時間は追って知らせることにした。地味子ちゃんにはせっかく機会を作ったので、とにかく頑張るように話をした。

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