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地味子ちゃんと恋がしたい―そんなに可愛いなんて気付かなかった!  作者: 登夢
愛人を失ったオッサンが失恋した地味子を嫁にするまでのお話
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僕と野坂さんはどういう関係だろう?

今日は10時から新製品の記者発表のための事前打ち合わせだ。企画開発部からはプロジェクトマネージャーの僕と今回の新製品の開発担当の新庄主任、広報部からは同期の野坂課長代理と部下の土井主任が出席する。


会議室での打合せだが、新庄君から新製品の実物と資料を渡して、新製品の概要を説明する。広報部ではそれらに基づいて、配布用の写真やニュースレリースを作成する。いわゆる、記者発表用の資料を作ってもらう。


あとは広報部の担当者、野坂課長代理と土井主任が発売日の一定期間前に記者クラブへ発表用の資料を持って行って、新聞各社に新製品についてレクチャーする段取りになっている。これとは別に新製品の広告・宣伝も広告企画部と進めている。


新製品の紹介は広告戦略が重要だが、広報活動で新聞各社に記事を書いてもらうことも大切だ。広告はお金をかければいいが、新聞記事は記者が書くのでお金では書いてもらえない。だから、新製品の記事は広告の10倍の価値があると言われている。


記事や広告で新製品の露出が増えるとお客さんに手に取ってもらう機会も多くなる。ただ、1回は試しで買ってもらえても、次にまた買ってもらえるかが重要だ。いかにリピートして買ってもらえるか、その製品の本質が問われることになる。だから新製品開発は難しい。でもそこがプロジェクトリーダーの腕の見せ所でもある。


野坂さんは僕と同期入社で男勝りの活発な女子だった。今では広報部を課長代理として切り回している。見た目もチャーミングで着こなしもセンスが良い。人当たりもよく、弁もたつので記者からもすこぶる評判が良いらしい。広報の仕事は女性に向いているのかもしれない。


僕が本社勤務になってから仕事上の付き合いができたが、気が合うみたいで、時々一緒に飲んで話をするようになった。ただ、始めからそうだったが、どうも男女の関係にはなりそうもない。打合せの後で呼び止めて例の話をする。


「野坂さん、ちょっと相談にのってくれないか?」


「まだ何かあるの?」


「研究開発部に米山由紀という僕の大学の10年後輩がいるんだけど、これがまた色気がなくて地味な子なんだ」


「その地味な子がどうしたの?」


「名前は言えないが会社のある男性が好きになったみたいで、どうしたら好かれるか相談された」


「それで」


「僕はまず見た目を良くした方が良いと思って、ダイエットやら運動やらを勧めた。これなら僕でも相談にのってやれるから」


「それで私に相談って何?」


「野坂さんは服のセンスやコーディネートが抜群だから、そのあたりのことを指導してやってもらえないか? 暇な時でいいから」


「私が?」


「頼むよ、他に頼める人がいないから。地味子ちゃんいや米山さんのために頼むよ」


「じゃあ、一度昼休みに連れて来て」


「ありがとう」


席に戻ると地味子ちゃんに内線電話をかける。丁度席にいたので小声で話す。


「野坂さんに例の話を頼んできた」


「本当ですか、ありがとうございます」


「昼休みにでもちょっと連れて来てと言っているけど、今日の昼休みは空いている?」


「はい」


「じゃあ、食事を終えて早めに席に戻っていて、電話するから」


昼休みに地味子ちゃんが席に戻ったのを電話で確認してから、野坂さんに電話を入れる。今なら空いていると言うので、地味子ちゃんを誘って広報部の野坂さんの席へ行った。


「野坂さん、こちらが僕の後輩の米山さん」


「野坂です。あなたが磯村さんの後輩の地味子ちゃん、いえ米山さん?」


「はい、米山由紀です。野坂さん、よろしくお願いします」


「私で良かったら相談にのるけど、休日にショッピングに出かける時に声をかけるから、都合が付けば一緒にショッピングをしましょう」


「いいんですか。ありがとうございます。ご迷惑にならないようにします」


「じゃあ、よろしく頼みます。恩にきるよ」


地味子ちゃんはとても喜んでいた。僕も相談に応えられたのでほっとした。あとは地味子ちゃんの努力次第だ。お手並み拝見といこう。

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