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お飾り王子1 めんどうなことはすべて臣下に丸投げします

 

「殿下……東の領地拡大はいかがでしょう」


「うん」


 どこの領地を広くしてどこが狭くなろうと、どうでもいいや。早く執筆作業したいのに面倒だな。


「報告いたします」


 彼は騎士団長の青年だ。長らく外国にいっていた騎士団が帰ってきた。

 このところ平和だって大臣が言ってるからそうなんだろ。


「ご苦労」


「……つきましては、……とのことです」


「いかがなさいますか?」


 さっぱり聞いてなかった。どうせこいつがなんとかするのになんで聞くんだよ。


「大臣が決めて」


「承知いたしました」


「それでは」


 騎士団長は去った。



「団長どうでしたか、報告いったんでしょ」


 騎士団長が食堂に訪れると、先に場所をとっていた部下2名が座っていた。



「相変わらずのお飾り王子だったわね。あれでよく君主が務まるもんだわ」


 女のような口調だが、彼はれっきとした男で最強の騎士である。



「久しぶりの王都メシ! なに食おーう」


「あいつはいつも元気だな」


 部下の男は苦笑いする。



 お飾り君主で結構。そんなことは僕が一番知ってるさ。


「聖女サマかわよ」


「マジで俺の嫁だわ」


 団員が聖女とやらについて雑談をしている。フン、どんなツラか拝んでやろうじゃないか。


「聖女さま!」


 ザワザワと観客が聖女の周りに群がる。遠方からオペラグラスで容姿を確認することにした。

 彼女は内側に巻かれた水色の髪、清楚で華美にならないこの国の民族衣装を着ている。

 こちらへと顔がはっきり向けられ、物憂げな眼差しが見えた。


「なんということだ」


 僕は静かに部屋に行く。自室の机にある書きかけの文書の続きを書く。


「書き終えたぞ、さっさとこい!」


「へいへい」


「レアンよ、今回の分だ」


「確かにお預かりしましたよ」


 あまりやる気がなかったのに、彼女を一目見てから活動意欲が増した。

 なぜなら彼女が僕の小説のヒロインの生き写しだったからだ。





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