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神の人形 1 皮肉

「やあ、お目覚めかな」

「ここは?」

「神の間さ」


 一面白く自分と相手の他は何もない。


「僕は何者でしょうか?」

「おや、私が誰であるかを問うより、己の存在を先に問うのか」

「貴方のことは見た瞬間に分かりました。簡単にいうならば、

 神様という人間には理解しえない超越者ですよね」


 神は本来、肉体を持たない。目の前の姿すら本体ではないのだろう。


「君は何者なのか、ヒントを与えよう。

 普通の人間ではないし、記憶は始めからない、となれば明白では?」

「僕は貴方に創られたと?」


 それなら記憶がない、普通の人間ではない。という意味に繋がる。


「では君はこれから旅をする。そして金儲けに人助け、悪と戦うでもいい」

「何か意味が?」

「作っただけで君を養う気はないからね」

「勝手に創ってポイですか……神だからしかたないか……」


「うんうん、近頃の人間は慰謝料も養育費も払わないクズばかりでいけない」

「……すっごく人間を創った神様です」



「おなかすいた……」

「どうしたの?」

「嗚呼、男か女かわかんないくらい綺麗な顔した人……」

「僕のこと?」

「お金なくておなかすいてるんだよ。食べ物くれよ!」


僕はお腹すくというのがよくわからない。この子は何を言ってるのか理解不能だ。


「おなかすきすぎて死んじゃうよ……」

「死ぬのは良くないことだね」


何とかしてやりたいけれど、なにしたらいいんだろう?


「これ」


道に落ちているタンパパをブチっとして差し出す。


「そんな消化に悪いもんくえねーよ」

「しょうか?」

「食物繊維のある野草のほうが肉より消化遅いって町医者がいってたぞ」

「これはだめなんだね」

「あそこの店で何か食べ物買ってくれよ……」


店というところに行く。物がたくさんある。


「何か食べ物はない?」

「肉は100ポンドで56マド、菓子はひと箱100コエだ」

「コエ? マド?」

「あ? はやりの通貨レス・ゲルポか?」


よくわかんないな。とにかく行動するには、まず通貨が必要なんだな。僕にはどうしようもないから放っておくしかない。


「なぁ、このあたりにとんでもない盗人が来てるらしいよ!」

「あそこのガキみてえな女みてえなツラしてるってさ」

「本人だったら笑えるぜ」


◇◇


「ぼっちゃま、本日はコルビパン家のご令嬢が……」

「馬車を出すのだ」


そのような馬鹿馬鹿しい名をした女などお断りだ。冷たくあしらえば向こうから去っていくだろう。


「このクオンダム様に相応しい女はいないものか……」


窓から外をのぞけば、飢えている子供。それらに草花を差し出す者がいた。遠目からでも美しさがわかる。


「あれが世に聞く天使か……」


クオンダムは彼女を追いかけるが、もうみつからなくなった。


「貴族様……お腹すいた」

「お恵みください」

「ふ……」


クオンダムは金貨1枚を指ではじく。そのまま徒歩で先ほど見かけた者を追いかける。







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