概念の神 一話
――ある領域に男女12名が集められた。
神殿跡地を模したと思われる砕けた壁、しかしここは日本であった。
「概念パルスト、貴方は酒も男女も戦もすでに飽いたことでしょう。体を手にしたと言って今さら何をするんですか?」
へびつかいの女は12人目の候補ということをあらかじめしっている。
その上で概念たる己へ器を捧げようと考える。
概念は男でも女でもないが、どちらでもあるとも言える。
男ではないなら女、女でないなら男とはならぬ。
「まずは彼等、人間を見よう」
「なにペチャクチャわっけわかんねー話してんだテメー!!さっさと姿を表せ!!」
牡羊座のジープ、粗野で戦が好きな男だろう。
「ああ、空気が足りない……」
牡牛座のカウラ、女だが牡淑やかだ。
「あらイイ男いるじゃな~い」
双子座のダブルヘッド、頭はひとつだが心は二つみたいだ。
「あのさあ、今日女の子達とデートなんだよね~」
獅子座のヘスペランサ、アフロではないが違うアフロを男にしたくらいの女好きだろう。
「ここにはか弱い女性しかいませんし、屈強な男性方に勝てるわけありません」
乙女座のリヴ、女性解放運動リーダー。
「あのさ、概念サマの器になる為に殺し合いとか意味わかんない。感謝されるボランティアよりメリットないし命を無駄にするのと他人に精神乗っ取られるので釣り合いないし」
天秤座のメジャー、クソナマイキなガキとへびつかいの書いたメモにある。
「ここがあたしの新しい戦場かい。こいつらに勝ったらとにかく最強ってわけなんだろ?」
蠍座のスピアーズ、軍神のついてそうなアマゾヌス感だ。
「あたしか姉サマ死ぬみたいだけどどうするの?」
「死にたくないしアンタが死ぬのも嫌だなあ」
射手座のアロイナと山羊座のピアランはリアル双子だ。
「別に死ぬとは言われてないし、互いに殺す気がなければ死なないんじゃないか?」
「勝ったものが我の器、負ければ徒歩での帰宅だ」
そして向こうの城で戦っているオランポス十二神の半分とこちらのが合流して全員が揃うことだろう。
「そうですか、ならよかったですよ。
アロイナさん、ピアランさん、こんな茶番はすませて私達はとっとと帰りましょう」
水瓶座のハイドラン、我の弟である思念の嫌いな奴がたしか水瓶座だった気がする。
「はあ……ひと安心です」
魚座のミウシリボン、純粋そうな少年だ。
「これで全員ですね」
へびつかい座のシャドラ、蛇を体にまとわりつけた女。
―――いま、戦いが始まる。