人選采配 一話
ここは神の間――人間の人生を創造し、神が紙世界へ人間を生み落とす。自らその人生を書く最中である。
「あー主人公だる器の人間がいない」
「創造神サクシャダズン様、もう空き場所ないんでサクッとキャラ合成しちゃいましょう」
キャラ合成、それは似ているキャラ同士を同一人物にする方法。
増えすぎた人間は消すのではなく混ぜて減らすエコである。
「性格とシチュはマッチしたが家名と血液型の設定がダメだ。ついでにいうと主人公の友人設定の奴と友人の親の仇キャラだ。好きになる女が同じでどちらかが当て馬なんだ。それを傍観し主人公はヒロインとイチャイチャする」
キャラ作りだけして縁結びやら送る世界の采配は任せればいいのにな。
「あーサブキャラ多すぎて引率する主人公と添え物ヒロインが一人たらんわ。ぶっちゃけ主人公とヒロインってどの作品でもムカつくからくっそどうでもいいんだよなあ……」
「じゃあ好きなサブキャラをを主人公にすりゃいいんじゃないすか」
「主人公の肩書きあるだけでくっそうぜえから無理。主人公が魔法無効化はいいが主人公が全属性魔法使うラスボス系とか絶対認めねー」
「それ創造神サクーシャに喧嘩売ってるじゃないすか」
「いいんだよ私が多分12人いる創造神の筆頭であるサクシャ・ダズンだから」
「で、どうするんですか?どうせまた新しい作品作ってポイなんですから速めにお願いします」
「うっせーなあもう!お前がやれよ!!」
「えー俺左利きだから万年筆は嫌いなんすよね」「うわムカつくわー」
俺やサクシャダズン神はサクシャダズンの隠居した父神の作った創造人物である。
文句があるならそういう設定にしたアンタの親父に言ってくださいマジで。
「お気に入りだったがすでに設定済みだった彼女をお前のヒロインにやろう」
「彼女?」
「その女もはじめからサブキャラとしてお前と縁結びされてる。本当はお前は主人公の部下設定だったが、その主人公がもう居ないからクラール家生まれの騎士団長な」
ぶっちゃけ神の部下設定のほうが後付けである。この神とは初対面なのに今さっき部下にされた。
自分は紙から出る前は話を盛り上げるサブキャラで、本来の設定主人公を導くオッサン28歳。以外はスカスカである。