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「黒猫が横切ると不吉だと言う人いるよね。私は黒猫も可愛いし、好きなんだけど」
「そうですね。黒猫は魔女の使い魔だとか魔女が変身している姿だとかで不吉なイメージがついたみたいです。わたくしも桃香さんと同じように、黒猫イコール不吉というのは間違いだと思いますわ。けれども、この七不思議の黒猫はただの黒猫ではなくて、二又ですもの。オカルトですわ」
「二又ですか。わたしは鍵尻尾か事故か何かで骨が曲がってしまっただけだと思うのですよ。猫の尻尾の奇形はよくあることです」
冷静にひなたが分析に入る。どんな猫であっても早く現れないだろうか。そんなことを考えながら、いつでもシャッターが押せるようにカメラを構える。絶対猫だけは収めて帰りたい。
その時、袖口をちょんちょん引っ張られた。オカルトVS科学の論争に参加せず、耳をふさいで震えていたイツキだ。目は見開き、裏庭の一点を見つめている。
「どうしたの、イツキ」
「あ、あれ……」
イツキの指差す方向を見る。暗くてよく見えない。目を凝らしてしばらく見ていると、目が見えた。きらりと反射した目は、間違いない猫だ。フラッシュを焚いて怖がらせないよう、駄目もとでシャッターを切る。
シャッターの音に気づいたのか、ひなたと深雪も論争をやめて、近づいてきた。
「あれが噂の猫ですか?」
「ここからじゃ暗くてよく見えないね」
その声が届いたのか、猫は小走りで桃香たちの正面を横切っていった。そして、薔薇の垣根を潜り抜けると、なんと校舎1階の開いていた窓にジャンプして校舎内に入ってしまった。
「校舎内に入っちゃったけど、大丈夫かな」
「暗くてよく見えませんでしたが、わたしには鍵尻尾のように見えたです」
「そんなはずないわ。校舎に侵入するほどの知識を持った猫なのよ。化け猫かもしれないわ」
「猫は身体能力高いですから、そうとも限らないと思うのですが」
「とにかく、校舎に戻って、探しに行きましょう。理科室にも寄らなくては」
「ええっ、探すの? もう見られたんだし、帰ろうよ」
イツキの叫びむなしく、一同は再び、校舎に向かうことになった。




