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第二話 俺の友達~Part1~

「はぁ~最悪だ~」


昼休み、俺は一人、教室の端っこで自分の机に顔をうずくめながら嘆いていた。

あのゴリラ(美優)のせいで、朝からドア壊されるわ、気絶するわ、そのまま遅刻するわ、

そして、途中で先生に会い、遅刻した理由を話そうとした瞬間、

だれかが撃ったライフル用のゴム弾が俺の頭に直撃して保健室に運ばれるわ

(学校にライフルをもってくるゴリラなんて一人しか思いつかないけど…)、ろくなことないわ。

そんなことを思いながら、窓から見える青い空を眺めていると、

「完璧な美少女の妹を持ちながら、顔・成績・運動、自称『中の上』。」

「そして、校内ナンバーワンと言っていいほどの友達の少なさ。」

「もちろん、彼女いない歴=年齢。の佐倉宗( さくら しゅう)君。」

説明口調で俺を呼んでくるのが聞こえた。

「あぁ、賢侍。晴香さん。それに怜奈も。」

そして、気づいたらクラスメイト達がざわついてるのが見えた。


「おいおい、なんでそろいにそろって彼らがこの教室にいるんだ!」

「よりにもよって佐倉のところに!」


そう、この三人はこの学校で知らない人はいない有名人である。


風庸 賢侍(ふよう けんじ)

男性にしては珍しい長い緑色の髪。

そして、きりっとした目。普通の男子高校生よりも少し高めの身長。

こんなクールな外見を持ちながら、ユーモアがあり、人望が厚く、

この学校に入学して、たったの一ヶ月で

当時の一年生から三年生の全員から支持を受け、この学校で初の

[一年生生徒会長]に就任された人物。

当然女子からはモテる。というかモテすぎる。


以前、誰かが彼に何かのアニメのヒロインが載っているイラストを見せながら、

「賢侍なら、どの女の子が一番かわいい?」

と聞いた。その瞬間、しゃべっていた女子全員が急に目を光らせながら、

賢侍を黙って見つめた。その静けさは、校長先生のお話を聞くときなんかよりも

比べ物にならないものだった。そして、先程まで聴こえなかった

ウグイスの鳴き声が教室に響き渡る。

賢侍はそのイラストをじっと見つめて、満面の笑みでこう答えた。

「このショートカットの女の子かわいいね。」

突如、教室にいるショートカットの女子の歓喜の声がウグイスの鳴き声を掻き消した。

そして、それ以外の女子は人生の終わりかのように静まり返ったり、

中にはハサミで自分の髪の毛を切ろうとする女子もいた。それを見た賢侍はその女子に近寄り、

「そんなハサミでキミのきれいな髪を雑に切ったらもったいないよ。」

と言い、そして、教室にいる女子達に向かって、

「それに、今の髪型のほうが結構似合っていると思うよ。」

そんな乙女ゲームに出てくる男性キャラのようなセリフを笑顔で言った瞬間、

クラスの女子達が昇天した(一時的に)。

その日、そのクラスは女子全員が体調不良?により、学級閉鎖になった。

後で、俺が本人に女性の好みを聞いてみると、

「まずは二次元女の子であること。これは最低条件かな。」

と、にこやかに答えた。そう、彼は二次元にしか

本気で女性の魅力を感じない残念なイケメンなのだ。


石蕗 晴香 (つわぶき はるか)

オレンジサファイアのように輝く橙色の短髪。

ゴリ…じゃなくて美優と同じくりっとした目がしているが、

性格が表に出ているせいか活発で、熱血漢が感じられる目をしている。

元気があり、子供っぽさが感じられる。それは性格からというよりも外見が、…

おっと!晴香さんが何故かこっちを怖い顔で睨んでくるので言うのはやめておこ…


「宗、朝なんで学校来なかったんだよ!心配したんだぞ!

頼んどいたもの(新作のギャルゲー)を楽しみに待ってたのに全然持ってこないから!」

賢侍が両手を机にドンドンと叩き、俺に聞いてきた。

人が友人の紹介してる最中に話しかけんな!

あと、俺の心配よりゲームの心配とか俺はお前の頭の中が心配だよ。ていうか…

「賢侍…右手…」

賢侍の右手で叩いていたものは机ではなく、晴香さんの頭だった。


「け~ん~じ~何か言うことない?」

「え~と…『小さくてもかわいいよ。』」

賢侍はせいいっぱいの爽やかな笑顔を振りまいた。これでときめかない女はいない。

「黙れーーーーーーーーーーーーー」

あっ、ちなみに晴香さんと怜奈以外の話だが。

晴香さんのアッパーが賢侍のあごに直撃し、賢侍はそのまま天井に突き刺さった。

そして晴香さんは何故か顔を赤らめながら去っていた。

「晴香先輩の禁句を言った賢侍君が悪いね。」

そう、晴香さんは俺達の一つ上の先輩でこの学校の副会長である。

「晴香先輩も素直になればいいのにな…」

怜奈がぼそっと何か言ったようだが俺にはよく聞こえなかった。


山茶花 怜奈 (さざんか れな)

後ろで結んだ初雪のような真っ白い長髪、そして、肌。

うるっとした瞳。普通の女性よりも少し高めで、

出るところは出て、引っ込むところは引っ込む。

そんな、可愛さと綺麗さを兼ね備える美少女である。

美優の可愛さ(外面)なんか比べ物にならないくらいの美少女。

ダメだダメだ。かわいすぎて[美少女]と二回も言ってしまった。

あぁーでも本当にかわいすぎ。

小さい頃から見てたけど日に日に可愛くなっているよな、本当に。


「初恋の相手に目を奪われちゃているところ悪いんだけどちょっといいかな?」

「!!!!!!!!!!!!!」

頭から噴水のように血を流す賢侍が俺の耳元で小さい声で話しかけてきた。

「何言ってんだよお前!まず、その血を止めろ。血が俺に飛ん」

「まあ、どうせ宗のことやから心の中で毎回のごとく怜奈さんのことを褒め称えているだろうな~」

最後まで人の話を聞け!ていうか、なんで俺の周りには人の心が読める奴が多いんだよ!!!


「でも、残念だよね。その初恋の相手と同じクラスになれなくて。」

「ああ、そうですね~」

「あれっ?そこまでショック受けていないのかあ?」

「そんな大袈裟な事でもないだろ。」

興味なさそうに返事をする俺だが実際は…


あああああああああああああああああああああああああーーーーーーーー

確かによく考えればアイツのせいで、怜奈にあまり会うこともできないのに

同じクラスじゃなかったら余計に会うことができないではないかーーーー

だからって、自分から話しかけるのもキャラに合ってないしなーーーーーーーーーー


めちゃくちゃ動揺していた。


「だが、安心しろ!」

賢侍が俺の肩に片方の手を置き、もう片方は窓のから見える空を指差しながら、

「明日から、宗の学校生活をバラ色にしてあげよう!」

「まさか、生徒会長の権限を使って何かするんじゃないだろうな?」

小さい頃から賢侍は何かと自分の力を使って、俺のために策を考え、実行してきた。

だが、すべて失敗している。つまり、俺の現状が良くなるどころかさらに悪くなるのだ。

本当にコイツの案が実行されたときはろくなことがない。

「詳しくは明日話すわ。」

そう言って、俺のカバンからギャルゲーを取り、俺の横を通り過ぎようとした瞬間、

「告白するなら早めにした方がいいよ」

「!?!?!?!?!?!?!?!?」

賢侍はそう耳元にささやき、去っていった。


「ったく…それくらい知ってるよ…」

俺はぼそっとつぶやいた。


「話終わった?」

「うおお!」

怜奈が下から俺の顔を覗き込んだ。とっさに俺は怜奈に対して背を向けてしまった。

ヤバイ、今の怜奈めっちゃかわいかったー。顔が熱いけど顔赤くなっていねぇかな~

「どうかした?」

「いや、なんでもない。怜奈ももうそろそろ教室に戻ったら?授業始まるぞ。」

俺は真顔(気持ちが悟られない顔)で振り返り答えた。

怜奈は俺の言葉にクスッと笑い、

「宗君何言ってるの。今日は入学式だから、午後からは授業ないんだよ!」

そういえば、いつの間にか教室に残っているのは怜奈と俺だけ…

めっちゃ嬉しいんですけど!!!(実際は結構恥ずかしいんですけど)。


「告白するなら早めにした方がいいよ」


何故か賢侍の言葉が脳裏によぎった。

クラスが違い、二年生から勉強などで忙しくなる。

だから、会うことが出来なくなる………

今なら、不安材料(邪魔するもの)もない。つまり言うなら今しかない!

「なぁ、怜奈」

「んっ?何?」

「え~と。その…何だー…」

「??????」

「俺と…一緒に帰らないか!」

「いいよー」

そういえば俺めっちゃチキン野郎だったーーーーーーーーーーーーーー

「というか、これから会える機会ないと思うし、明日から一緒に帰らない?」

「あぁ、別にいいよ。」

よっしゃーーーーーーーーーーーーーーー

賢侍、告白はできなかったけど俺の学校生活バラ色になりそうです。

「じゃあ、行こ!」

怜奈が廊下へ駆け出した。

「あぁ、今行くわ」

俺が怜奈の所に行こうとした。その瞬間、

ズドン

今日の朝に味わった痛みが俺の頭に走った。

賢侍、やっぱ俺がバラ色の学校生活を送ることは無理のようだ。

そう思いながら俺は倒れこんでしまった。

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