第一話 俺の妹
「妹は素晴らしい!!」
シスコンがよく口にする言葉だ。
これを聞いて、俺はこう思う。
はぁ? おまえら頭おかしいやろ。
何が素晴らしいだ、妹を素晴らしいというのなら、
ゴキブリを素晴らしいというのと一緒だろ。
「お兄ちゃーん…」
そもそも、なんで妹というものが存在するのだろうか。
「お兄ちゃーん…」
もしも、妹がいなければきっと俺は…
「クソ兄貴ーーーーーーーーーー」
「うあぁーーーーーーーーーーー」
飛んできたドアが俺の顔面に激突した。
「せっかく私が、クソ兄貴のことかわいく『お兄ちゃん』って呼んでいるんだから、
返事くらいしなさいよ。返事がないからドア壊れちゃったじゃないの。」
怒り気味にこちらを見つめる少女こそ、
今日、俺と同じ高校に入学する女子高校生。
そして、俺の妹である佐倉美優。
成績優秀で、運動神経抜群。黒髪のロングヘアー。くりっとした目。すらっとした身体。
そして、おしとやかで清楚。簡単に言えば妹は完璧な美少女だ…
ということになっている。
「だからって毎回毎回ドアを蹴り飛ばさなくてもいいじゃないか。」
ていうか、このドアって俺が美優に内緒で買った、[ニートから大絶賛。籠城ならおまかせを。]で
知られている、[安心安全あなたの生活守りますドア]じゃなかったけ…
「確かに壊したのはやりすぎたかな…」
そう言うと、美優は顔を下に向け黙り込んでしまった。
あれっ…ちょっと言い過ぎたかな。
「なあ、美優…」
「今度から、クソ兄貴だけを蹴り飛ばせいいんだね。」
「俺の心配を返せーーーーーーーーー」
「うるさいなー、朝から大声出さないでよ。近所迷惑でしょ。」
「まあ、そんなことよりも…」
おいおい、コイツは部屋のドアを壊し、そのドアを俺の顔にぶつけたことをそんなこと呼ばわりか。
「どう?かわいいでしょ。」
そう言いながら、美優はくるりと回った。
「ああ、かわいいな。制服があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
俺が話している途中に美優がりんごを潰すかのように、俺の顔を握り締める。
「あっれ~その言い方やと『制服がかわいくて私がかわいくない』という言い方に
なっちゃうよ。クソ兄貴はもっと国語の勉強したほうがいいよ。
賢くて、かわいくて完璧な美少女な私みたいに。」
あ~朝からうるさいな~ていうか、いつまで俺の顔を握り締めているんだよ。
めっちゃ痛いんですけど、コイツの握力どうなっているんだよ。
人間じゃねーだろ。ゴリラだよ。ゴリラァァァァァァァァァァァ
「クソ兄貴。今、私のことゴリラって心の中で思ったでしょ。」
なんで、分かるんだよ。ヤバイ、頭が真っ白になってきた。
そのまま、俺はゴリラ(美優)の手によって
眠って(気を失って)しまいました。
とまあ、こんな外面だけがいい、凶暴で内面がド最悪な妹がいる。
これでも、妹は素晴らしいと思えるのか…
いいや、ない!