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作者: あずま

右手で自分の頬をなでる

左手で自分の頬をなでる


あなたが入院しているとき

意識のないあなたの頬を何度も何度もなでたね


柔らかくて

暖かいあなたの頬


今なでている

お母さんの頬とは違う

張りのいい柔らかい頬


小さい頃は両手にはさめたね


最近はもう触れることもなかったけれど


あなたが入院しているとき

手も足もケガをしていたから

あなたの頬は触れてもあなたにいたい思いをさせないだろうと

朝に夕に触れていたね


自分の頬をなでていると

お母さんにそっくりだったあなたの頬を思い出す

あなたの頬をなでていた

あの日のことを思い出す


あなたが笑うことはなかったけれど

あなたが応えることはなかったけれど

それでもあそこにあなたはいた


どんなにあなたを呼んでも

どんなにあなたを望もうとも

あなたはここにいないから


ちょっとばかりくたびれているけれど

あなたによく似た自分の頬をなでてみる


あの日のあなたと同じく暖かくて柔らかい


あなたの頬を思い出して

あの日は今より幸せだったと

愛おしくて

狂おしくて


今日も自分の頬をなでる

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