episode 4
一時間目の授業の終わりを告げるチャィムが鳴ると、みんなは一斉に達也へと駆け寄った。
「俺、川田亮平。みんなには亮って呼ばれてるんで、ヨロシクぅ!」
いかにもおちゃらけキャラという感じの男子が真っ先に声を掛けてきた。
「んでもって吾輩はこいつの相方。名前はまだない」「いや、普通にあるだろ」
思わずつっこんでしまった達也に亮平は不満げな顔を向けた。
「それは、俺の台詞なんだけど」
「…は?」
達也は首を傾げた。
「この2人は相方同士なのよ」
振り向いた達也ににっこり微笑む少女。
「私は霧島梓。二人は川田亮平と野村健太。」
「そう!俺がツッコミで健太がボケだ!二人合わせて――」
「コンビ名はハウンドドッグ、らしいわ。ネーミングセンスを疑うでしょ」
「だああっっ!どいつもこいつも俺の台詞取りやがってぇっ!」
どうやら亮平は本気で拗ねたらしい。
「どうしてハウンドドッグなんだ? 亮平」
達也が話題を振ると、
「ああ、それはなっ」
亮平は機嫌を取り戻したらしい。
「それはなっ、亮平の『りょう』と健太の『けん』を取って合わせると『りょうけん』だろっ」
どうやら
[りょうけん]
=[猟犬]
=[ハウンドドッグ]
ということらしい。
(なんと単純な…)
「ね? ネーミングセンス皆無でしょ? 単純な奴だ、って思われてるわよ、亮平」
「っ!? そ、そんなことないよな、篠崎?」
「霧島さん、だっけ?良く俺の考えていることが分かったな」
「なにぃぃぃ!?」
……今度は落ち込んでいるようだ。
「俺が三日三晩寝ている時と食っている時と遊んでいる時とネタ考えてる時以外ずっと考え通した名前なのに…」
「……一体いつ考えたのよ、それ」
(コイツ、ボケの方が向いている気がする)
直観的にそう思った達也だった。
如何でしたでしょうか。確かに、亮平はボケの方が向いているかも…評価・感想頂ければ励みになります。次回も引き続き教室での風景です。