表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな恋の物語  作者: Gard
PR
7/10

場所なんて関係ない


 ゆっくりと下ろした目蓋の向こう。そこにはいつもの授業風景が広がっていた。

 ただちょっと違うのは、あたしの大事な友達がぼーっと上の空だったってことだけ。それ以外は変わりない。

 まぁ、だからこそ私はいつもの如く目蓋を下ろしたのだけれど。

 下ろしただけでは音って消えない。聞こえてくる教師の声に数式(奇しくも数学の時間だった)を頭の中に展開させる。

 ただ、それだって面倒なので、思考を放棄する。

 そして眠りの世界へ…………。






 授業が終わって叩き起こしてきたのは、何故かこっちに来てた隣のクラスの弟だった。

「姉貴! ちょ、あれ何とかしてよ!」

「……うっせーのよ、礼治。つかあれって何さ」

「あれはあれだよ!」

 半分以上悲鳴の混ざった声で訴えられる。

 主語を隠すなと言いたいのに全然伝わっていない。伝わってないのではなくて、ただ言いたくないだけなのかも。

 そう思ってると、ある一点を礼治が指さしているのが見える。

「うげ」

 思わず声が漏れた。

 礼治の指が指し示す方向にはあたしの友達とその彼氏の姿。ピンク色のオーラが見えるような気がする。

 思わず腕に鳥肌を立てながら(なんか精神に悪いと思う、知り合いがああしてるのって)あたしは礼治を見た。

「ごめん、あたしにも無理」

「…………だと思った」

 がっくりと肩を落と弟を慰めるためにポフポフと肩を叩いてやる。

 時計に目をやれば、どうやら昼休みになっていたらしい。そう言えば今日の数学、四限だっけ。

 友達の手には二つの弁当箱(!)。どうやら彼氏と食べるために作ってきたらしい(!!)。

 当の彼氏はどうやらそれを事前に聞いていたのか、迎えに来たといったところだろう。

「で、何であんたがここにいるの?」

「……恭哉の付き添い」

「あれ、何時の間に名前呼び?」

「ついこないだ」

「はーん、漸く学校でも名前呼び出来る仲になったわけ」

「うるせーよ、姉貴」

 そんな私達の視線は同時に問題の二人の方へ向かってしまった。

 そして同時に後悔する。

 まだピンクのオーラが発せられていた。思わず高速で目を逸らす。

「ば、場所ぐらい気にしろ……」

「姉貴、それ、本人達に言って」

「無理。恋は盲目」

「だったら諦めて」

 がっくりと姉弟揃って肩を落とす。

 ああもう、これからこういう光景を目にすること、多くなるのかしら。

 …………やってける自信、ないかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ