◇第六話◇「彼女は何処へ?」
ティノ「この岩、何をしても動く気配がない…!」
さっきから岩をどけようと、色々な方法を試しているのだが、全くという程手応えがない。
メイリ「じゃあ滝側から入るしかないね!」
ヴォルス「でも今回はナコナが居ないぜ?」
メイリ「あたし一人で何とかしてみる。さっきのモンスターとの戦いで体力温存してあるしね!」
ティノ「じゃあ裏側にまわろう!」
3人で全力疾走して滝が流れている場所まで行く。
草木を掻き分け、最短ルートを通った。途中枝に引っ掛かり、服が少し破れてしまったが、気にせず走った。さっき倒したモンスターの肉も置き去りにして。
やっと滝側の入口へたどり着いた。…が、何だか様子がおかしい。地鳴りのような音が鳴っているのだ。
思わず両耳を塞ぐ。
ティノ「何なんだ!?」
メイリ「…ッ…辛っ…」
メイリは呪文を唱えるため、耳が塞げないでいた。
俺が代わりに耳を塞いであげようと、自分の耳から手を離してメイリの方に手を伸ばしてみる…が、音に耐えきれずメイリの耳を塞ぐ事は出来なかった。
ティノ「ごめん…!俺には無理だ…!」
メイリ「しょうがないよ…!こんな状況だもん…!!」
流石のヴォルスもこの音には困っているようだ。顔をしかめ、耳を塞いでいる。
ヴォルス「うー…一体何の音なんだよコレェ…」
そういったヴォルスは、自分の耳から手を離し、メイリの耳を塞いだ。そして…叫んだ。
ヴォルス「うぉおぉおおおおおおお!!」
ティノ「何でそこで叫ぶんだよ…!」
こいつ狂ってんのか!?
ヴォルス「叫びであの忌々しい音を相殺してるんだぁあああああ!!」
メイリ「…うん!あの音よりか叫んでる声の方がマシ!行くよ!フラワースパイラル!!!!」
前回もやったように、メイリの指先から螺旋状に草花がふわぁっと出てきた。
その量は前回を上回っている。滝の水を塞き止めるには十分だ。
ヴォルス「いっけぇぇえええ!!!」
メイリの魔法が解ける前にと俺達は洞窟の中へ駆け込んだ。
流石にあの量を出すのに力が要るのか、俺達が駆け込んだ途端に水を塞き止めていた花は流れ去った。
メイリ「はぁ…、はぁ…も~無理。」
ヴォルス「こふぇ、かふぇた。」
ヴォルスはさっきの叫びからか、声が掠れていた。
皆そこまで無理をしていたということだ。
せめてもの償いに、二人には入口で休んでもらう事にした。ここから先は俺一人で行く…!
ティノ「俺、一人で行ってくるよ。」
ヴォルス「…そんなふぉ無茶ふぁっふぇ…」
メイリ「危ないよ…!」
ティノ「だからといってこんな状態の二人を連れていく訳にはいかない。」
俺は返事を聞かずに、二人に背中を向け走り出した。
さっきナコナとナギが居たのはこの奥だ…!
奥までたどり着いた時最初に見えたのは、ごちゃごちゃになった部屋と、その中心で倒れているナコナだった。
ティノ「ナコナ!!」
急いで近づき、息をしているか確認する。……どうやら気絶しただけらしい。息はしているし、体も温かい。
ティノ「意識は無し……か」
まぁ、少し時間が経てば目を覚ますだろう。それまでの間に、この部屋にナコナと一緒にいた筈のナギの姿を探す。……が、何処にも見当たらない。
葉っぱの下も、部屋の隅も見たが、見つかったのはナギのつけていたリボンカチューシャだけだった。
あいつ一体何処へ……?
ナコナ「……ナギ……さんが……」
ティノ「!!」
どうやらナコナの意識が戻ったようだ。話を聞くためにナコナに近づく。
ティノ「大丈夫か?」
ナコナ「わ、私は無傷なので大丈夫です~……でも、ナギさんが……!」
ティノ「ナギは一体どうしたんだ?」
ナコナは半分泣きながら、詳しく事情を話してくれた。この部屋の整備が終わった後、急に何者かが来てナギをさらっていったという。
その姿は黒い巨体だったことしか覚えていない……と。天井の大きさと同じ位だったので巨体が一体何だったのか、確認する事が出来なかったらしい。
下を見てみると尻尾があったと言うが、詳細は不明。ナギを鷲掴みにし、連れ去った。
ナコナはその黒い巨体が嘶くのを聞いて気絶してしまったようだ。
ナコナ「で、でも途中水の音が聞こえました~!多分、黒い巨体は滝の方から出ていったと思います~」
俺達がさっき聞いたのは、黒い巨体が飛ぶ音ということか?だって俺達はその黒い巨体を見ていない。だが、見えないほど高く飛んでいたというなら、納得がいく。
では、ナギは一体何処へ連れていかれたんだ……?




