茶番開幕
序幕をこれで終わらせるという意思もありましてかなり長いです。
ぶっちゃけてしまうとこれが処女作です。
作者頭カワイソスとかいってないで、できれば早く見てください
奇跡って信じるかな?希望も信じる?
奇跡の反対って何だっけ?…確か偶然。
希望の反対って何かわかる?絶望?全然違うよ。絶望の反対は仲間や夢だからね。
希望の反対って何だっけ。あぁ、そっか。足掻きだ。
親から習った言葉。産まれたときから俺とともに過ごしている言葉。
「死にたくないなら、精一杯足掻け。」といわれてきた。
この場所の教訓であり、王族の提示した命令。希望の言葉。希望であろう言葉。
しかしそれは、希望ではない。言い換えればそう。
【私たちは貴様らを殺す】
と示していた。
俺が、昔、まだ小さくてこの世界の黒さを知らなかったとき。
呼コダマさんに聞いた話だが、この国の歴史を聞いた。
捏造された歴史なのか、現実をまとめた歴史なのかは知らない。今のところは興味もわかない。
なぜなら、無駄だから。この国の歴史を得ることが無駄だから。
何処の情報屋にいくら聞いても、王族関係者のウィキリークスを見ても、誤情報を流して、王族にカマをかけようとも。
王族はその秘密を一切明かさない。だから無駄だ。と解っている。
なので呼さんの情報が正しいのかは知らない。ただ唯一いえるのは、この国の歴史には正解が無い。だから失敗も無い。つまり捏造の数だけ歴史があるということだ。
その呼さんから聞いたこの国の歴史。それは酷いものだったが、今現在のこの国を上手くあらわせていると想う。
世界が一つの王国に統一された
その王国、名をパルキセウス王国と云う
パルキセウスはこの世の物と思えぬ科学力で世界を統一した
パルキセウスによって作られた領地。通称【解放地域】
作られたエリアは三つに分けられ完全に王国の支配の下に置かれていた
絶対にして唯一無二の安全地帯、エリア壱
不屈なる闘志を燃やす使い捨ての駒の集う地、エリア弐
王国の繁栄の正体にして世界の頭脳、エリア参
そしてそれ以外の土地は王国管轄外地域【荒廃地域】とされていた
デトリアも主に三つの地域に分けられ、反王国地域なりの世界があった
王国の序列制に見捨てられた人間の成れの果てが集まる場所、人間ダストシュート、デトリア壱
世界に弾かれ無法と成りえる罪が裁かれない場所、デトリア弐
非王国領土でありながら唯一王国が干渉する場所、王国の処刑場、死六番台
この地域に分けられる。
とりあえず、このままだと専門的な説明になってしまうから、用語を噛み砕いて説明しよう。
まずは『序列制』について。
この国は【解放地域】内で生まれた人間に順位をつけるようにしていて、その制度のことを序列制と云う。
ただ解放地域内に住めるのは、序列四万位までの人間で、それ以下の人間は【荒廃地域】に捨てられる。
もっとも、荒廃地域は序列制なんてないし、王国もそこを国としてみていないことから、そこでどれだけ足掻いても意味はないのだが。
これが二つ目の説明。
つまりどういう事かと言うと、荒廃地域に住む人間は末代まで荒廃地域の住人になるということだ。
だから荒廃地域の人間は増えていく一方、だと思うだろう。それは大きな間違いだ。
それを防ぐ役割と、法を犯した人間を裁く機関が『死六番台』
この機関は、王族の目に付いた人間を収容する場所であり、解放地域内で法を犯したもの、荒廃地域内で見捨てられたモノを裁く場所である。
まぁ用語的な部分は此処で終わり。
この国の今現在の歴史と状態が解ってくれただろうか?
ついでに追記しておくと、呼さんは俺にこの話をした後死六番台に連れて行かれた。その後見てはいない。あそこは人をモノのように扱うから無事ではないと思っているんだが。
まぁ、元々死六番台なんてものは合法的に人を処刑するために出来たようなものだし、別にそこにいった人間がどうなろうといいんだけどな。
この世界では力の在る奴が勝つ。故に俺達は国に勝てない、だから国に殺されても文句は言えないのだ。最も俺たち如きが文句を言ったって殺されるだけだけどな。
そんなことも下らない日常に消えていくのだろう。説明ばかりでも果たして得はないし、考えも湧かない。考えるべきことは現在で捨てるべきものは過去と未来だ。王国に未来を決められている以上俺達は死ぬしかない。生きても結果を得られない。
それが俺が今まで此処で生きてきた学んだことなんだ。生きてきて学んだことなんて、マイナスのことばかりだった。
俺は解放地域のことを詳しく知っているし、そこに行ったことも見たこともある。だから奴らほどの、同類ほどの価値観は持ち合わせては居ないが、俺が学んできたことがマイナスなんてことくらいはわかる。
そもそも此処に居る時点で俺はマイナスだし、こんな生き方をしてきた人間は間違いなくマイナスだろう。
人を見れば殺戮し、壊し、嬲り、詰り、砕き、盗み、奪い、崩壊し、無を齎す。そんな思想を持ち合わす人間は生憎ながらもう解放地域に戻ることは不可能だろう。だからこそ俺は諦め、傍観している。
この地域で一生を過ごす人間は珍しくない。というか、この地域から解放地域に出て行く奴らが珍しいのだ。さっきも言ったが、この地域はあちらの世界からドロップアウトしてきた人間の集まる土地だ。故にここにいる人間はあちらのことを強く嫌うし、戻りたいと思う奴は居ない。住めば都、なるほど俺たちの為に出来た言葉だ。最も此処に来た人間の子孫がどう思うかは別だが。
此処に来て出て行った人間なんて指で数えるほども居ない。せいぜい一人か二人だ。しかも国に認められて戸籍も運命も与えられたのは一人だけ。その人物については詳しく知らないが、その人物が《死六番台》を作ったと言うんだから皮肉なもんだ。俺たちと同類が俺たちを殺したがるとは。
所詮俺は傍観者だ。ここで生きる必要最低限の知識しか得ていないひよっこがこの世界に復讐するなんて所詮は絵空事。復讐するには人間を殺すだけではなく、圧倒し押さえつける力が必要なんだ。それはこの世界では常識の話。
国を圧倒し、押さえつける力なんて探しても無い物だ。あるなら一度お目にかかりたいね。
なんて、机上の空論を叩いていると、俺の目の前には集団があった。外側には弱者を取り囲むように陣が出来ていて、当然だがその陣の中には弱者がうずくまっていた。文字通り殺陣と言わんばかりの勢いと殺気だった。
これも、日常。否、コレが日常か。略奪し、力の弱いものは売られる。当然、「死にたくなければ死を」の世界だ。死に急ぐものは誰にも助けられず、生きたければ強きものに媚びる。しつこいようだがコレがこの【荒廃地域】の決まりだった。
おーっと、弱者はどうやらカモのようだった。小奇麗な格好をしている。解放地域内の者だろう。興味本位か逃げ込んできたか知らないが、まぁ新参者ならここの掟を知るのも一興だ。因みに、もちろん略奪者に見覚えは在る。ここら一帯の地域を纏めているグループだろう。噂と言うか情報によると、奴らは新参者で在ろうが暴虐の限りを尽くすらしいからな。あーあ、可哀想に、子孫を残せず逃げ込んできてすぐに死ぬとは。ご愁傷様なこったい。
まぁ、傍観者には関係ないね。俺は家に帰れればそれでいいし。さーて、奴らどけてくれないかな。
「あんさー、此処で陵辱するのはいいけど此処、俺の家。他所様に迷惑はかけんなよ。」
「あー?てめぇ何だ? 調子こいてんじゃねーぞ? てめぇんちかなんかは知らねぇが、死にたくなきゃ失せな。」
あちゃー、失敗。しかもこいつはこいつでそこそこにやるクチじゃん。さっきからの殺気の原因はコイツだったのか。うわー、じゃぁ俺も本気出すかな。これくらいじゃよけてくれないなら、嫌でもどかすのみ。
「あー、喧嘩売んのはてめーらの自由だけど、人の家の前で暴れてんじゃねぇ……ぞッと!!!!」
とりあえず俺は、目の前にいた殺気の原因の襟首をつかんで柔道の要領で投げ、地面に叩き付けた。
「うわぁ!テメェ何してやが……?カッハ……」
男は肺の中から出したような声を出して倒れこんだ。まぁ思いっきり地面に叩きつければこうなるわな。受身も満足に取れてなかったし。殺気で少し筋肉を硬直させてたし。
「うわわわわわわああああああああああああああああああああ。鴇作ときさくさん! 大丈夫ですか?」
そういって、鴇作と言う男の心音を聞いて、怯えたような顔になった下っ端は一人を除いて逃げ出していった。
「何だ?お前。邪魔すんじゃねえ……よぁぁぁ!!!!」
残ったのはやせ細っていてナイフを持っている完璧発狂栄養失調大馬鹿野郎だった。漢文みたいな渾名だな。つーか、ホントに馬鹿か?今の状況見てれば逃げ出すのが得策ってわかれよ。あーあ、仲間の皆さんは逃げ出したのに。マジで大馬鹿野郎だな。ナイフ持っているからって勝てると思ってんのかな。それが大間違い。ナイフは自分の力を刃先や中心に込めるものだから、無力が持っても意味無いのに。ゼロにゼロかけたってゼロな理論と同じなんだよ。ま、荒廃地域に数学が出来る奴なんて情報屋か余程のエリートだけですけどね。
「何だよ。ナイフ持ってっからって勝てると思ってんの? 武器出したからにはテメェも武器で殺される覚悟、決めろよ?」
言い放ち、俺は相手が突進してくるのを見定めてから相手の懐に潜り込んだ。まずはすれ違い様に一発。手ごたえあり。アバラの一、二本は逝ったな。
「はぁん!?いってぇえええええええな。ブッ殺!!!!!」
相手はもう一度突進してきた。駄目だな。ナイフを持っている以上ショートレンジで刃に力を込めるように打ち合わなきゃいけないのに、突進って。自爆もいいところだな。それとお前が負けた原因は別の場所にあるんだよバーカ。俺はもう勝ちを確信してるしな。
「あきゃあああああああああああああああああああああああああああ」
完璧にイッちゃってますね。まぁ、いいか。奴の突進を紙一重でよけ、後ろに回りこむ。余計な距離はとらず足も必要最低限の距離だけ動かしておく。切れた奴はどうするか解らない。足を余分に動かせるようにしておいて回避出来るように。
「あたれやああああああああああああああああ」
叫んでばかりじゃあたらないですよ。奴の後ろに回りこんだ俺は首に手を廻し力を込める。窒息寸前まで追い込む。そして奴がナイフを落とした事を確認して手を離す。横ステップ、前かがみ、前転、横に手を伸ばしナイフ回収、奴の前に対峙。
「ここまでの動作、0.92秒。解る? お前の敗因は俺が格上だったことなの。雑魚が!」
語尾に怒気を込める。俺に負ける奴は俺に殺されろ。殺される生命に、道具に価値などない。
「うわああああああああああああ」
今更になって男は逃げ出した。しかし、無駄、無力、無意味。俺はさっき言った筈だ。
「俺に武器を向けた以上、俺に武器で殺される覚悟、あるんだろ?」
俺はナイフを奴の後ろ首に投げた。鮮血が飛び散る。血の雨の中、俺と取り残された弱者は、対峙した。
家の前の階段に腰掛け、暫く休んで五分後、俺は飲みかけの水のペットボトルに蓋をし、口を開いた。
「お前なんであそこに居たの?」
弱者が蹲ってた場所に指向け、弱者に問いかける。返事待ちだ。こいつ喋れるか?叫び声もあげてなかったし、もしかして咽潰されたとか?
「逃げてきたんだ。」
やっぱりな。それしかねぇだろうよ。興味本位で来る奴なら、叫び声上げて暴れて挙句死ぬのがオチだしな。その点、逃げて来た奴は利口だ。ある程度の覚悟を持ってやって来る。故に別に暴れることもしない。なぜならそれは、「当然の出来事」なのだから。
「あー、お前みたいな若造、つって俺が言えたタチじゃねぇけど、ひよっこが此処に来た理由は聞かないでおこう。どうせ聞いても下らない理由だろうしな。」
「聞いてくれないんですか?」
確かにそういった。コレはさっきの俺の台詞と矛盾するんじゃないか?此処に来る人間は向こうに絶望してくる。なのに今こいつは理由を求めたよな? 何故? こいつは向こうに絶望していないのか?
「聞いて欲しいのか?」
動揺を隠せない。隠せない?否、隠しきれて居ないんだろう。なんせ、こんな奴にあったのは久しぶりとはいかず、久方ぶりだ。今まで、弱者を殺し、破壊し、蹂躙し、陵辱し、失ってきた俺も、こんな奴に会ったことがない。
「えぇ、貴方、いや《君にも協力して欲しいからね》」
……!? 何だ今の言葉に込められた殺気。殺気? 違うな。絶望。諦め。不信。不安。欺瞞。疑心。妬み。すべてにおいての負の感情。俺が感じたのはそれだと言うのか?果たして、この俺の足元にも及ばなさそうなひよっこが俺に、絶望を、宛てたと言うのか? 出来るのか? このガキが、解放地域生まれの糞餓鬼が俺様に絶望を宛てただと? フザケが過ぎるな。
「ねぇ?どうしたの? 聞えてなかった? 僕は君に、《協力して欲しい》と頼んだんだよ? 《君に拒否する権利なんてないし、あっても君はそれを選べるのかい? 君に選べる道は、僕を目の前にして、存在すると言うのかい?》」
果たして、俺は、馬鹿だったのか? あそこでこいつは、まさか、そんなこと無いだろうが、【弱者を気取って】いたのか? そんなことがありえるのか? 殺気を隠せ、絶望を宛て、夢幻を齎す。そんな存在が解放地域に居るのか? 否、居るわけがない。この荒廃地域に人間が、一般常識を持った人物が生まれていないように、向こうの世界に、こんな人間が居て言い訳が無いんだ。
「はー。落胆したよ。君は僕に期待をさせてくれたのに。」
「待った!待った。解った。協力しよう。」
俺のこの言葉は恐らく、コイツに対しての恐怖から来ていたんだろう。
「《絶対?》」
「《絶対》だ。」
死ぬ。本能が叫ぶ。奴は危険だ。常人じゃない。当然。こんなところに居る人間が当然な人間な訳が無い。それでも、俺は当然じゃないなりに、当然じゃない人間を見分けていられるつもりだった。しかし、コレは、こいつの根底に根付くものは何だ?絶望? いやそれ以上であり、それは異常な物だ。死。奴は根底にそれを持っている。人間では、生物では絶対にありえないそれを奴は知っている。だから、人間は、俺らは、一度死んだ人間に、神に、怯え絶望し足掻く。コイツは一体何者なんだ?
「君と会う運命は346800864356890987987643568個あり、その中で君が僕を救ってくれたのは238909643個ある。そして条件を飲んでくれたのは9875457個だ。それで君とともにミッションをクリアできた運命は0個だ。それ以外の運命は死だ。よろしく、犬神くん。はじめまして? いや、もう一度あえて嬉しいよかな。まぁいいさ。協力を仰ぐよ。」
「何を言っているか解らないが、順を追って教えてくれ。あんたは何者で、何を知っていて、何をしようとしているんだ?」
「僕は、一井陽。運命を知っていて、この国を崩壊させようとしているんだ。」
今現在の時間は、12月1日の昼一時だった。覚えておいてくれ、歴史はこの時間を持って【崩壊】することとなる。
俺とコイツの邂逅によって。
「さて、それでは楽しいたのしい茶番を開幕させようか。」
その瞬間空耳ではなく俺には、はっきりと、銃声が聞えた。
あぁ、今日も《此処》は、壊れている。
――――セカイノカンカク――――第零章――――《プロローグ―茶番開幕】――――了――――
ぶっちゃけて言うと、まえがきに書いたので、あとがきなんて書くことありません。
あとがきは物語が完結したときにまとめて書かせていただきます。
後ろでくすくす笑っていた友人と、四年間小説仲間としてきた友人に感謝を。
ここで謝辞とさせていただきます。
卒業であえなくなるけど、今度会うときはきっと小説家同士として会いましょう。




