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Prologue.


@この小説を読む前に以下をご確認下さい@




1.グロテスクな表現


2.武器を使った暴力表現


3.薬物などによる精神破壊


4.人体破損(四肢切断、欠損など)


5.残酷な表現


6.ホラー要素


7.拘束・監禁



…の要素を含んでおります。

心臓の弱い方やホラー・グロテスクな表現が苦手な方はお引取り下さい。









2025年、12月14日。


今日は夕方に目が覚めた。


時計を確認すると、もう5時過ぎだ。


取り敢えず窓を開けて換気をする。


入院してからもう2週間が経った。


何があったかといえば、………正直、話すのが嫌だ。


ともかく、僕はここ2週間、病院から一歩も出ていない。


最早寝るのも飽きていたし、何よりも動けないのが一番堪えていた。


そんな僕に、突然隊長から連絡が入った。


定期連絡の接続アドレスを間違えて、僕のところへ接続されたらしい。


僕は慌ててテーブルへ向かい、その上のモニターを見る。


煤けた頬の隊長が緊張気味にモニターに映っている。


見たところ、回りには誰もいないようだ。


他の隊員とはぐれたのだろうか。



「隊長……」



モニター越しに、そっと声をかける。


隊長は頬についた煤を払いながら、薄っすらと微笑んだ。



「元気か、ハセガワ」


「ええ、まあ……ほとんど治ったようなもんです」


「調子が良いからといって、勝手なマネはするなよ。医者の言うことは聞いてろ」


「ちゃんと大人しくしてます。………それより、どうしたんですか?」



そう問いかけると、隊長はふぅとため息をついた。



「本当はケールに接続する予定だったんだが……まさかおまえに繋がるとは思っていなかった」


「定期連絡ですよね?」


「うむ、しかしまいったな」


「定期連絡なら僕がまわしておきます。どうぞ」


「いや……うん、まあいいだろう。今回の任務(ミッション)はとても危険を伴うものだ」


「はい、存じています」


「ウチの隊員も半分以上やられてしまった……」


「…今、お一人なんですか?」


「うむ、途中『バケモノ』に襲われてな、機関銃(マシンガン)で撃ち殺そうとしたら天井が崩れ……通路を絶たれたのだ」


「『バケモノ』………」


「おまえも知っている通り、今回の任務(ミッション)は怪しい動きをしている研究所をツブすようなものだ。怪しい怪しいとは言っても、本当はどうなのか俺も知らなかたのさ」


「そこで、その『バケモノ』に出くわした……」


「そういうことだ。そんなモノがいるとは思っていなかった。…ま、準備不足だな」


「………、」



本当に大丈夫なんだろうか、この人。



「今、どのフロアにいるんですか?」


「恐らく………第4フロア。番号は2-45。見たところ会議室らしいが…」



そこまで言って、隊長はカメラの脇によけて室内を見せる。


無機質な壁に嫌な色のシミと、メモ書きが大量に貼りつけられている。


ドアは閉じられていて、横にあるロック解除装置も壊れているようだった。


数10秒ほどして、また画面に隊長の顔が映る。



「この研究所に従事していた人間はほとんど死んでいるようだ。……いたるところに死体と血痕があった」


「研究員たちも『バケモノ』に襲われたんでしょうか………」


「そうらしいな。あれは人によって傷つけられた痕じゃない」


「管理していたのは自分たちなのに……………」


「想定外の事態が起こったらしい。検問のところで画面(ウインドウ)に『非常事態』と、いたるところに表示されていた」







               がたん。







「…………!」



油断なく振り返る隊長。


なんの変哲もない、無機質で薄汚れた壁があるだけだ。


つまり、何もない。


いや………違う。


何か『ある』のではない。


何かが『あった』のだ。



「……………誰かいるのか?」



隊長がカメラを離れ、ドアの方へ近づいていく。


今の音でわずかにドアに隙間が開いている。


隊長はドアの前までくると、そっと手を伸ばし、隙間に触れようとした。


その時。















































           ガガガガガガガガガ……ッ!!!









































「ぎゃああぁぁぁああぁぁぁあぁっっ!!!!??」


「た、隊長っ!?」



悲鳴とともに、赤いものがあたり一面に飛び散る。


血だ。


僕は身を乗り出してモニターに向かって叫んだ。



「隊長!隊長ぉ―――――っっ!!!!」


「が……あ、あぁぁっ……………!?」



隊長の呻き声が聞こえる。


血で濡れたモニターの中、隊長の姿を探す。


と、突然人影がモニターに飛び込んできた。



「たいちょ…………」



呼びかけようとして、思いとどまる。


違う。


隊長じゃない。


映っているのは、白髪の長い、初老の男。


残念ながらゴーグルを装着しているため、人相まではわからない。


男の口角がスッと上がる。


(わら)っているのか、この男?



















           ガチャン!!!






















「……………あっ!?」


画面が砂嵐に変わる。


どうやらカメラが破壊されたらしい。


僕は慌ててナースコールを押した。



「どうなさいました?」


「バルドを呼んでください!………急いで!!!」


「え?は、はい……」



ナースがくるなり、僕は叫んだ。


若いナースは僕の剣幕に驚いたらしく、跳ね上がるようにして病室から出て行く。



「隊長…………」



こぶしを握り締めたまま、僕は画面を睨んでいた。





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