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1ー1 星火師




――――――



世界は太陽と月の女神の姉妹が守り

精霊達がいる事で魔力が循環し

人々は精霊から力を借りて魔法を使い生活をしていた



100年前

地上に住む者たちは常に争い合ってきた

世界大戦争の際に

巨大破壊魔法によって大地の中心に穴があき

空に浮かんでいた月が破壊されてしまった


月の女神は怒り

人々から夜の明かりを奪った

月と星が無くなる事で

夜の魔力が薄れ

精霊達の力も無くなり

人々は魔法を使えなくなった

精霊がいないと

炎を焚いてもすぐに消えてしまい

明かりも温かさも無くなり

人々は争いどころではなくなった


太陽の女神も

姉の女神が傷ついた事に嘆き

昼の魔力も不安定となり

世界の秩序が乱れた


精霊王は

精霊の消失と世界の崩壊を恐れた

人々の前に現れ

攻撃魔法を封印と

女神への謝罪を命令した


人々は

精霊の協力から魔法を使い

最低限の生活は出来たが

女神への謝罪は何をしても届かなかった




ある日

炎の魔法の少女が

小さな炎の魔法を空に向かって上げた

空に上がっても

すぐに消えてしまう時もあれば

高く上がる時もあり

毎日上げ続けた



夜

光る事の出来なくなった星の精霊達が

いつ自分が消えてしまうのか

常に怯えていた

その時

地上から上がる弱々しく

消えそうな小さな炎に

気がつきそっと触れた



久しぶりの灯りだった


触れた途端


(女神様ごめんなさい)

(精霊様ごめんなさい)

(私達が罪を犯してしまった、こんな灯りですが捧げます)

(命消えるまで捧げます)

(許されるなら絵本に書いてある月が見てみたい、星を見てみたい)

(月の女神・・セレーネ様)


少女は

世界大戦争をおこしたうちの国の一つの王族だった

生まれたときには

明かりのない世界で生きてきた

歴史を学び

自分に魔力があると気がついてから

毎日炎を空に向かって上げ続けた

謝罪と祈りを込めて

夜は魔法が使えないため

夕暮れの夜になる直前に炎を上げた


月の女神の目に留まるように


炎に触れた精霊は

自分が光っている事に気がついた

少女の炎を綺麗と思い

少女の思いも受け止めたら

炎の魔力が移り

弱々しくも光っていた

星の精霊は喜んだ

久しぶりに光る事ができたから

他の精霊も

一人だけ光る精霊に気が付き

初めて地上を気にかけた


翌日

小さな炎が

ゆっくりと2つ上がってきた

星の精霊は

恐る恐る触れてみた

少女の声で謝罪と願いが響き渡り

気がつくと精霊が2人が光っていた


(この炎は私たち精霊を月の女神を救うかもしれない)


星の精霊は

光り輝く自分に笑顔を向けてくれた

月の女神を思い出した


(あぁ、女神様の笑顔が見たい、喜ばせたい)

(星の精霊として輝きたい)

(炎の少女に、自分達が輝く星空を見せたい)


星の精霊は

月の女神が隠れた暗い夜空に向かって

光り続けた

毎日上がる炎を

星の精霊達は拾い続け

日に日に光る精霊が増えてきた

少ない星の精霊の光も

数が増えると

地上でも気が付き

少女に教えを聞き

真似するように炎を上げる人が増えた

ただ

炎を上げただけでは精霊は好まず

女神や精霊への思いが詰まった炎のみが

精霊を光らせる事ができた




月の女神セレーネは

閉じていた瞼の向こうが

チカチカと光る事に気がついた

月が壊され

怒り

傷つき

心も瞳も閉じてしまい

暗闇の中で眠りについていたはずなのに

何故かと思いそっと瞼を開けた


以前は

キラキラと輝き

一緒に夜空を過ごした

星の精霊達が

弱々しく光り

自分を見ていた


「女神さま!」

「セレーネ様!」

「見て、私達光ってるの!」

「地上からね、ごめんねって炎が届くの」

「思いのこもった炎に触るとね、私達光れるの!」

「セレーネ様!泣かないで!」

「セレーネ様!私達が光ると嬉しいでしょう?」


星の精霊達が

嬉しそうに話し始め

セレーネを

喜ばせようと頑張って光る


(あぁ、いつも星の精霊と輝きながら夜を過ごしていた。私が笑うとこの子たちも嬉しそうに輝く・・)


セレーネが

星の精霊に触れると

少女の声が響いた

ずっと

謝り続けている

私や精霊への思いが

沢山聞こえた

少女以外の声も聞こえる


(・・・先の戦争にこの少女は関係ない、心から謝っているが・・・私は以前のようになれない、許すなど・・)



「セレーネ、許さなくてもよいのではないか?」



懐かしい声に顔を上げると

精霊王ケンリック・エローラが立っていた

以前の彼は

周囲に近づけない程

精霊で溢れていたはずなのに

そばには1人も精霊はいなかった

輝き

溢れんばかりの魔力もなく

ひっそりと暗闇の夜空に佇み

変わらない優しい瞳を

セレーネに向けていた


「過ちを犯した者たちが謝ったからといって、必ず許さないといけないわけではない。君が傷つき、怒り、苦しんだ事は事実なんだから・・」


優しい精霊王の言葉に涙が出る。


(・・・そう、とても辛い、苦しい・・・・でも・・)


「でも・・・愛おしい。

 許せないのにこの声を信じたい。

 昔のように見守りたい。

 この優しい灯りが、優しい声が聞きたい。

 けど・・まだ許せない・・」


まとまらない気持ちが溢れる

何が正解かわからない


「・・たくさんの精霊が傷つき、命を落とした。私も許すことは出来ない・・だが、全ての人々が悪ではない・・・このままでは君も、妹の太陽の女神ソレーヌも、精霊も消えてしまい世界が無くなってしまう。」


精霊王の言葉に

眩しい笑顔の妹女神ソレーヌを思い出す


「全てを許すわけではない。

 地上の人々には償ってもらうため、私が伝    えよう。

 月が壊れ、魔力が安定しない。

 昼と夜の境に、星の元となる魔力の火を上げてもらう。星の輝きがあれば、夜の魔力が安定し、昼も整ってくる。

 セレーネや星の精霊は、心のこもっている、気に入った火を選べばいい。

 そして、その輝きと温もり、魔力を地上の人々に分けてあげなさい。魔力が循環し、世界が回る。」




精霊王ケンリック・エローラが

地上の人々の前に

姿を見せ言葉を発した


火を上げていた女王が

率先して働きかけ

いつしか

夜空に上がる火は星火と呼ばれ

      ”星火師”

という、炎の特殊魔術師が生まれた。

 

人々は

10歳で

魔力が覚醒し

その際属性がわかるが

星火師への適性があるものは

髪と瞳が

赤・オレンジ・金色と変化し

学園で学んだ後は

世界中に派遣され

星火を上げる

女神や精霊に思いを込めて

魔力の星火は

星になり

夜を輝かせ

地上に降り注ぐ

星の欠片から

こぼれる魔力が他の精霊を満たし

世界中に魔力が満ちる





――――――




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