第3話:ギルド長との再会?
門番たちの騒ぎを背に、
俺たちは悠々と街の中へと足を踏み入れた。
結局、あのメロンパンの袋は、
「鑑定不能の未知の魔道具」として、
入市税どころか銀貨十枚に化けた。
「……ねえレオンさん。
僕、確信したよ。この世界の人たち、
絶対チョロすぎるよ……」
ハヤトが、お釣りの銀貨八枚を、
複雑な表情で見つめながら呟く。
「チョロいのではない。
お前の世界の『当たり前』が、
それだけ異常だということだ。
さて……まずはここに行くぞ」
俺が指し示したのは、
街の中央に鎮座する、
巨大な剣と盾の紋章が刻まれた建物。
冒険者ギルド、ガレリア支部だ。
「……え、いきなり?
もっとこう、服とか飯とか……」
「アースドラゴンの魔石を、
適正な価格で換金できるのはここだけだ。
それに、まずは身分証が要る。
無職のままでは宿にも泊まれん。
……ここには、腐れ縁の男がいるからな」
ギルドの重厚な扉を押し開けると、
酒と鉄の匂いが混じった熱気が、
俺たちを包み込んだ。
荒くれ者たちの視線を無視して、
俺は一番奥にある『支部長室』の扉を叩いた。
「……入るぞ、バルガス」
返事も待たずに扉を開けると、
そこには書類の山に埋もれた、
熊のような巨漢の男が座っていた。
「……あん? アポなしで入る、
礼儀知らずな野郎はどこの……」
顔を上げた男――バルガスが、
俺を見た瞬間に絶句した。
「……レオン? レオン・アルヴィスか!
てめえ、なんでここに……!
王宮でふんぞり返ってたんじゃねえのか!」
「クビになったんだ。
文字通り、着の身着のままでな。
……というわけで、バルガス。
俺たちをギルドに登録してくれ。
ついでに、換金したい獲物もある」
バルガスは一瞬呆気に取られた後、
腹を抱えて大笑いし始めた。
「ガッハッハ!! あの無能な王め!
ついにトチ狂って、
国の守護神を追い出しやがったか!」
バルガスは椅子を蹴り飛ばす勢いで立ち上がり、
俺の肩を壊さんばかりに叩いた。
「歓迎するぜ、最強の召喚士殿!
で……そっちの妙な服を着た小僧は?」
「俺が呼び出した勇者だ。
名前はハヤト。……こいつもセットだ」
ハヤトは、俺とバルガスの、
距離感の近すぎるやり取りに、
完全に口を半開きにしてポカンとしていた。
「あ、あの……はじめまして。
風間隼人です……」
「ハヤトか、よろしくな!
レオン、さっさと手続きを終わらせるぞ。
てめえの身分と路銀をさっさと確保しちまおう。
登録が終わったら飯に行くぞ!
おい、一番いい店を予約しろ!!」
勢いに気圧されながらも、
ハヤトは嵐のようなバルガスのペースに、
ただ目を白黒させるばかりだった。




