第22話:究極のパン武装?
一頭の狼を「硬いパン」で仕留めた後、
俺はハヤトを切り株に座らせ、腕を組んだ。
「……ハヤト。今のままでは、
この先の主には通用せんぞ。
ただ投げるだけでは、大きな獲物には決定打に欠ける」
「えっ、そうですか?
……結構、いい音してましたけど」
ハヤトは手元の「鋼鉄メロンパン」を、
コンコンと叩きながら不思議そうに首を傾げた。
「……。
いいか。その『硬度調整』ができるなら、
形はパンでも、用途は変えられるはずだ。
……。ハヤト、まずそのパンを縦長に生成しろ」
「えっ、メロンパンを縦長に……?
……。
こ、こんな感じですか?」
ハヤトが念じると、右手のひらから、
不格好に引き伸ばされた『棒状のメロンパン』が現れた。
クッキー生地の網目模様がついた、奇妙な棍棒だ。
「……良し。それを最大硬度で固定しろ。
……。
次は、平べったい円盤状のパンだ。
……こっちは、外側だけを硬く、
持ち手になる内側は『ふかふか』に保て」
俺の細かな指示に従い、
ハヤトは顔を真っ赤にして集中を高めていく。
「……で、できました!
……これ、『メロンパン・シールド』だ!」
ハヤトの左手には、直径五十センチほどの
頑強なクッキー生地の盾が握られていた。
内側は焼きたての柔らかさで、衝撃を吸収する。
右手には、表面がトゲトゲした凶悪なパンの棍棒。
「……。
(……。俺は一体、何をしているんだ。
世界を滅ぼす魔神を屈服させた俺の戦術眼が、
今、パンの装備セットを完成させてしまった……)」
俺は己の矜持が削れる音を聞きながら、
装備を整えて得意げな少年に告げた。
「……。
よし、仕上げだ。ベル、ハヤトに付いていろ。
……。
これより、森の主……『岩トカゲ』を狩るぞ」
「……ニャ。主、
ハヤトの格好がシュールすぎて、
ボク、一緒に歩くのが恥ずかしいかな……」
影から漏れるベルの溜息を無視し、
俺たちは「全身メロンパン装備」という
前代未聞の姿で、森の最深部へと足を踏み入れた。




