第17話:密室の詰問?
「……さて。いい加減、吐いてもらおうか」
ギルド長室の重厚な机を、
バルガスがドォン!と拳で叩いた。
その上には、魔力草の詰まった、
あの『ビニール袋』が鎮座している。
「……。
おい、ハヤト。嘘をついても無駄だぞ」
俺――レオンは、
壁に背を預けたまま、低い声でハヤトに促した。
こいつが一人で採取に行った数時間の間に、
どこでこんな『オーパーツ』を拾ってきたのか。
「い、言われても困りますよ……。
ただの袋ですってば……!」
ハヤトは椅子の上で縮こまり、
涙目で俺とバルガスを交互に見ている。
「ただの袋なもんか! 見ろ、
表じゃ鑑定士どもが、
『それを譲れ』と扉を叩き続けてやがる!」
バルガスが忌々しそうに扉を睨んだ。
廊下からは「未知の素材だ!」「開けろ!」
という老人たちの怒号がかすかに響いている。
「……ハヤト。正直に言え。
この透明な膜、どこで見つけた?
……古代遺跡か、それとも誰かから盗んだのか」
「盗んでないです! ……あの、それは、
僕のスキル(・・・)なんです。
……出せちゃったんです、さっき」
「……ああん? スキルだと?」
バルガスが眉間に皺を寄せ、俺を見た。
俺もまた、絶句した。
……スキル? 数日前の朝、不自然に現れたあのパンも、
召喚ではなく、こいつ自身が?
「……ハヤト。
その透明な袋、もう一度『出せる』か。
……今、この目の前で見せてみろ」
「……。
(……。うう、やるしかないか)」
ハヤトは覚悟を決めたように目を閉じ、
真っ赤な顔で右手を差し出した。
「……。
……メ、メロンパンの袋……出ろッ!」
――ヌルリ。
バルガスの目の前で、
何もない空間から、透明な膜が滑り出してきた。
魔力の揺らぎも、魔法陣の光も、一切ない。
「…………は?」
バルガスの口が、マヌケに開いた。
俺も、背中の壁から離れ、
思わずハヤトの手元を凝視した。
「……ハヤト、てめえ……今、何をした?
召喚の予兆も、物質変換の魔力も感じなかったぞ」
「……さっき、草原で確認したんです。
僕のスキル……『物質生成』って名前でした。
中身は……メロンパン関連らしいですけど」
「……メロンパン……関連……?」
沈黙。
ガレリアで最も恐れられるギルド長と、
最強の召喚士が、
同時に頭を抱えて唸り声を上げた。




