第13話:輝く草原と、無意識の生成?
街の西門を抜けると、
視界いっぱいに、風に揺れる緑の海が広がった。
「……よし。やるぞ、ベル!
三股の葉っぱで……えーと、
根っこに光を当てると青く光るやつ!」
俺は地面に這いつくばり、一本ずつ草を掘り起こしては、
太陽にかざして根元を確認した。
だが、ようやく見つけた本物の『魔力草』は、
掘り出したそばから、
強い日差しに焼かれて根の水分が飛んでいく。
「あわわ、枯れちゃう!
……そうだ、濡らした布で包めば……!
……って、そんな都合よくちょうどいい布なんて、
一枚も持ってないじゃん……!」
俺は空っぽのポケットを叩いて絶望した。
根っこを優しく、かつ密閉して守れるものなんて……。
「……もっとこう、ピタッと密閉できて、
中身も見える……そう、昨日のメロンパンの袋!
あれがあれば完璧なのに……!」
その瞬間、右手のひらに、
ヌルリとした熱い感触が走った。
驚いて手を開くと、そこには透明で、
カサリと乾いた音を立てる、
『ビニール袋』が一枚だけ張り付いていた。
「……出た。また出たよ。
今、間違いなく僕の手の中から、
この『プラスチック』が産まれたんだ……」
俺は隣でじっとこちらを見ているベルの視線に、
あることを思い出した。
「……そういえば、ラノベ小説で、
自分の能力をみるやつあったな。
……えーと、やるしかないか」
俺は顔を真っ赤にしながら、
羞恥心に耐えてその言葉を小声で口にした。
「……ス、ステータス、オープン……っ!」
【スキル:物質生成Lv1(メロンパン関連)】
【生成可能:メロンパン、包装用袋】
【魔力値:測定不能】
「…………メロンパン関連って、何だよ!!
勇者のスキルがパン縛りかよ!?」
「……ハヤト。
一人で叫んで、一人でキレて……。
ボク、君の情緒の方が心配かな」
ベルに呆れられながらも、俺は必死に考えた。
袋が出せたなら、中身もいけるはずだ。
「……メロンパン、メロンパン、出ろっ……!」
――ヌルリ。
手のひらに、ずっしりとした重みが宿る。
「……きた! 焼きたてだ!」
俺は半分に割り、ベルにも一切れ差し出した。
「……!?
な、なにこれ……噛むたびに、
幸福が押し寄せてくるかな……」
「でしょ? ……よし、こうなったら、
武器とかもいけるんじゃない!?」
「……剣! 聖剣エクスカリバー! 出ろ!」
……何も起きない。
「……じゃ、じゃあ金貨! 百万円札! 出ろっ!」
……やはり、指先からは何も産まれない。
「……。
ハヤト、必死にパン以外の名前を叫ぶ姿、
なかなかに惨めかな。
……さっきから何を一人で騒いでいるのかな?」
「……えっ。あ、ベルには見えてないんだっけ。
……うう、僕の勇者人生、メロンパン確定なの……?」
絶望に打ちひしがれながらも、
俺はヤケクソで袋を量産し、
薬草を片っ端からパッキングしていった。




