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『メリットのある宗教』

4. メリットのある宗教

 宗教のメリットを今一度見直そう。それは何なのだろうか。先ほどはメリットはなかなか見える事が無いと述べた。その見えにくい物の中で、特に議論したいところは宗教に関していない一般の人々の宗教メリットである。宗教2世におけるメリットは立ち位置の違いからおよそ大きく違うから、一緒に語りたく無い。一般の人々のメリット、今はそこに重きを置きたい。


 やはり、この様に考えだすと、メリットというのは自分の人生をマイナスからプラスへとシフトチェンジしてくれた物であると考えるのが一つの安直な答えだと思う。そこに宗教が関係している事が、宗教のメリットという訳だ。


 神に祈って病気が治りました、事故から免れました。身近な物なら、友達関係がうまく行きました、恋人が出来ました、受験に受かりましたとか、そう言ったところだろうか。


 寺、神社、教会、それぞれに相応の形でその守りを受ける事が出来る。お祓いで、御守りで、お祈りで。


 ことこの国においてはそれらの作業の多数は、神道、寺のおよそこの二つで行われる。そして、それらの人々は意識的な無信仰者である事が多いだろう。これは不思議な事で、興味深い事であるが、ここでは国柄馴染んだ宗教の形として認識し、片隅に置いておこう。


 今はメリットだ。


 メリットはそれぞれ数々あっただろう。勿論、無かった人というのも居るのだろうけれど。祈りの意味はあった。お賽銭の意味も、御神籤を引く意味も、お守りを購入する意味もあった……事もあるだろう。


 けれども、少なくとも私が観察する上では神社仏閣へ参拝に赴く人の量に対して、自意識のある宗教人というのはあまりにも少ない様に感じる。理由は言うまでも無い気はするが、不思議な光景ではあると思う。


 信じていないものに祈りを捧げる行為を行っている、それが多数という矛盾だ。


 いやいや、私も分かる。私だって、宗教2世ではあるが、他宗教施設へと足を運べば礼節を弁えて、お祈りを、参拝を、周りの多くと同じ様に当たり前に金銭まで投げる。お供物まではいかないが、それくらいはその宗教の信仰者ではなくとも行う行為である。


 その位の行為は宗教を信仰していなくてもすると言う事だろう。


 何故か。


 お祈り、お賽銭、お守り、御神籤。ここらを並べ立てればやはり、その答えに当たるものはメリットなのだろうと敢えてもう一度回帰させて述べておこう。自分の都合が良いように、行動をとる。責められる所の無い純粋な人間らしさだろう。


 しかしながら、ここで前提とした仮定に矛盾が生じる。


 『自身にメリットがある事が信仰する事への理由となる』と言う事と、『信仰していない宗教にメリットを求める』と言う事である。


 人が宗教を嫌う理由に自身にデメリットがあるからと述べた。デメリットとは不利益で、それは深掘りしなければ『金銭』と『関係』のどちらかが自分の良い所に落ち着かない事だと私は考える。


 しかし、人は信仰もしていない宗教に対して祈り。さながら、それが当たり前のように金銭を払い、神と対面する(勿論、金銭の価値は人によってそれぞれであり、皆デメリットにならない位の金額を払っている事は百も承知である)。


 人は金でメリットを購入している、信仰はせずに。しかも、願い事は割りと大きな事を願ったりする。


 大事な事は信仰とメリットの関係性だろうか。無論、メリットが無ければ信仰しようとはならないだろうけれど、そもそも人は神がかりを自分の成果だと思う事が簡単に出来る。人生に対して大きな願い事でさえだ。


 ここらには、布教活動をする事の難しさを感じる所が見える、そうそう人は他人やモノを信じたりはしない。


 メリットが大きくても、人はそれを神がした事だと思わないし、メリットが小さければそもそもその宗教を信仰しようとは思わない。


 これが一つの答えだろうか。宗教における勧誘の攻略法の一番考えるべき点で、これを攻略しさえすれば人は宗教に落ちる。


 ふむ、私が望まない宗教への踏み入り方だ。


 私は宗教とは本来こうあるべきでは無かったのだと思う。いや、宗教とはそもそもこうあったら別のものだと言っても良い。宗教と認めたくすら無い。


 だからこそ、私はこの結論の様な宗教観で、内側から外側から行動し、思考する事は辞めて欲しいと思う。


 意識の変化をもたらされるべきは、やはり内側だけでも、外側だけでも無いのだろう。宗教を信仰する者、一般の人々どちらともがこの宗教の安直な答えを否定していくべきだ。


 皆の為のメリットである宗教の形を私は探したい。

 


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